野良猫さんの手術
先週、野良猫さんの手術が一件ありました。
野良猫さんの去勢手術とか避妊手術とかを
毎日のように実施している動物病院さんからしたら
あんまり大したことないのかもしれませんが
当院の場合、野良猫さんの手術を実施することがほとんどないので
年に一回あるかないかの大イベント的な感じであります。
というのも、以前にも同じ論文を話題にしましたが
一昨年にこの報告が国内でありました↓
『Nosocomial Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome in Companion Animals, Japan, 2022』
SFTSに感染した犬さんが使用した手術台で
同じ日に避妊手術をした猫さんが後日SFTSを発症し亡くなった事件的なやつです。
院内感染が疑われ、感染経路として
酸素飽和度を測定するSPO2のプローブを介して感染したんじゃないかという話でした。
この報告を踏まえ
現状、静岡でのSFTSの発生状況などを踏まえると
野良猫さんの手術に用いたモニタリング機器であったり
診察台であったり
様々な器具であったり
そういったものを介してSFTSが他の猫さんに感染してしまうリスクは
それなりに高いのではないかと考えています。
そのため野良猫さんの手術がある日は
他の猫さんの手術はもちろん
犬さんの手術も実施しないようにしております。
また、検査預かりや入院などによって
院内で犬猫さんを預からないといけないような状況での
野良猫さんの手術は極力避けるようにしています。
また、野良猫さんが立ち入った場所の消毒は徹底するようにしておりますし
その後、可能な限り、他の猫さんがしばらくは立ち入らないように心がけております。
SFTSってそれぐらい恐ろしい感染症かなっていう認識で、僕はおります。
新型コロナの時に、あれだけマスクしたり消毒したり
色々と恐れていたにもかかわらず
野良猫さんの手術を日常的に他の猫さん達と同様に受け入れている
動物病院さんってすごいなって思います。
野良猫さんに対する手術を否定するつもりも
TNR活動とかを否定するつもりもないですし
頑張っておられる保護猫活動家の方や動物病院さんがいるのも存じております。
ただ、それだけ感染症のリスクというものがあるという認識は
持っておいた方が良いのかなって思っています。
猫専門の動物病院だったり
キャットフレンドリークリニックとかあると思うんですけど
野良猫さんの診療行為を日常的にされている動物病院さんが
果たして本当に家猫さん達にとって優しい存在になっているのかは
ちょっと疑問がある気もしています。
少し極端な考え方を敢えて述べるとするならば
コロナウイルスとかもそうだったりしますが
種特異性の高い感染症などの観点からだけ考えると
犬さんが多い動物病院で猫さんを診察してもらう方が
院内感染のリスクとかは低いわけなので
一概に、猫専門が猫さんに優しいとは限らないのかなあ、とも思ったり。
でも、まあ
猫さん専門の方が
猫さんの診察件数も多いので経験も豊富かもしれないですし
わんちゃんの鳴き声とか聞こえないので
メリットも多いとは思います。
要は考え方次第ですね。
とりあえず、僕は
野良猫さんの手術に対しては、少し神経質に捉えておりますよ、ということと
野良猫さんの手術を日常的にされている動物病院さんに手術を依頼することの意味について
考える機会があっても良いのかな、と思い
今回のテーマにしてみました。
あくまでも個人的な考え方なので、異論・反論もたくさんあるとは思います。
でもやっぱ感染症って怖いなって思いますし
上記の報告の中に出てくる命を落とした7ヶ月齢の猫さんに対しては
かわいそうだなって思います。
そういう不幸な事案を避けられるんなら避けたいなって僕は思うので
そこも動物病院を選択する一つの基準であっても良いのかなと思いました。
それでは、今日はこの辺で。
このようなニュースを見ると本当に心配になります。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250613/k10014834291000.html