機会損失
昨日、今日と半日お預かりで輸液療法をさせていただいている猫さんがいます。
その子は2週間ぐらい前から動物病院に行かれていて
1週間前からは連日点滴をしてもらっていたそうなんですが
昨日は、完全なショック状態で当院に来院されました。
体温は35℃ぐらいで心拍数も130ないぐらい、血圧も測れないぐらい低い状態で
完全なショック状態。
そこに重度の低ナトリウム血症と低カリウム血症というような状況で
そのままだと命を落としてもおかしくないような感じでした。
すぐに治療を開始させていただき
昼過ぎぐらいには少し顔が上がるようになってきて
夕方には体温も37℃台まで回復。
血圧も上がってくれ、来院時よりは状態は改善しているように見えました。
一旦、お家に帰ることとなり
今日また昨日と同様に半日預かりで治療をさせていただきました。
他の病院さんではありますが
一昨日までずっと点滴治療していたのに悪くなる一方で意識レベルも低下していたような子が
1日で歩き回るようになってくれたことで
ご家族にも喜んでいただけたみたいでした。
明日以降も継続して治療させていただくことになっていますが
このまま快方に向かってくれたら良いなと思います。
一般的に点滴は輸液療法と呼ばれますが
あんまりちゃんとしたやり方というのが実は決まっていなかったりします。
大体これぐらい流そうね、みたいなのはなんとなくあったりしますが
多くの獣医師が昔から言われる経験則みたいなのを頼りに
治療を行なっているのが実情じゃないかなと。
僕が一番好きなのは
今でも集中治療の分野であることに変わりはないので
人間の輸液療法の本とかも集めてたりして
好きな分野ではあるんですけど
一般的には、『なんとなく』で実施されている場面が多い分野だと思います。
ご家族からしたら
動物病院で預かってもらって
静脈点滴をしてもらった、という状況は
どこの動物病院でやっても同じように映るとは思うのですが
実際のところは全然やってることは違うかったりします。
実際、今回の猫さんも
毎日のように点滴してもらっていたわけですが
全然用量が足りておらず
そこの病院さんは明日までお休みだったみたいなので
昨日来ていただけなかったらそのまま亡くなっていたと思います。
そこの病院さんも
昔からある同じ清水区の動物病院さんで
多分うちの病院よりも狂犬病ワクチンの接種数とかは多いんじゃないかなっていうとこなんですけど
実際はそんな感じで。。。
ご家族はきちんと病院には連れて行ってくれてるんですけどね。
こういうのって難しいなって思います。
せっかく動物病院に連れて行っても
適切な治療を施されないなら
それはそれで他の動物病院に行く機会を失い
逆効果にもなり得るわけですよね。
動物病院をやるってことも、診療にあたるということも
それらには責任を伴うわけでありまして
獣医師が診療を請け負うならきちんと治療する責任があると僕は思います。
せっかくうちの動物病院に来てもらえるなら
それが無駄足にならないように
それらが逆効果になってしまわないように
きちんとした検査や治療を提案・実施しないといけないなあ、と
改めて考えさせられる機会になりました。
引き続き、猫さんの治療を頑張りたいと思います。
それでは。
おはようございます。
先生の記事、刺さりました。
私達飼い主もしっかりした目を持たなくてはならないのだと思います。
信頼している医師の診断となると、素人の飼い主には判断が難しいのですが…。
その「信頼」も長年通っているという信頼の場合もありますし、セカンドに行きづらいという気持ちもありますし。
ただ大切なのは飼い主都合ではなくだということを、忘れないようにします。
都内在住です。遠くて残念です。
>カラフル様
コメントありがとうございます。
患者様から見て、その動物病院の中身まで把握するのはなかなか難しいですよね。
なので、結果的に先生の人柄だったり、何でも聞けるかどうか、同じ診療項目の費用とか
そういった点が病院選びの一つの基準になっていたりするのかなと思います。
動物病院自体が中で実際に何をしているか分からない不透明な部分が多いように思います。
そこら辺をどの病院もオープンに、誰から見ても善し悪しがはっきりとわかれば良いんですけどね。
『こんな動物病院は嫌だ。●●編』みたいな記事でも書いてみましょうかね。
消去法になっちゃいますけど、動物病院を選ばない基準みたいなのがあっても良いかもしれないですね。
コメント失礼致します。
こちらの記載の内容に心当たりがありウチの飼猫の事かなと思いコメントをさせて頂く事にしました。
猫の症状と経過は、記載されてる通りで現在もみなとまちアニマルクリニックさんにて治療中です。
朝にはグッタリとして誰が見ても「衰弱して生命が危うい」状態でした。
藁をも掴む思いでネットで、みなとまちアニマルクリニックさんを知り受診した次第です。
GW最中に、診察を行っている動物病院さんは少なく本当に助かりました。
先生の説明も理解しやすく、スタッフさんも親切で不安な気持ちでいっぱいな飼い主には、皆さんの接し方に心が救われました。
当然、病気の猫自身も大変な思いでいるでしょう。
早く元の生活に戻れるように飼い主は、できる限りの事をするしかないと思ってます。
今後も、よろしくお願い致します。