消化管異物による腸閉塞の猫さん
今週の水曜日に緊急的に手術になった猫さんは
サンダルの一部なのか、フロアマットみたいなものか
そんな感じの異物を食べたことにより
腸閉塞となっていたため腸切開の手術となりました。
これだけ読むと、普通の異物を食べちゃった症例の話ではありますが
この子は、診断までに少し時間がかかっています。
まず始めに、2週間前ぐらいに間欠的な嘔吐などを主訴に他の動物病院さんを受診。
その際には整腸剤をもらい、一度回復。
その症状がまた再燃したとのことで当院を受診されたのが4月の3日のこと。
その際は発熱、食欲不振、嘔吐が見られました。
血液検査では特に問題なし。
腹部のエコー検査でもリンパ節が少し腫れているぐらいで
この時点では明らかな閉塞像はなし。
うーん、なんだろう?
若齢なのでFIPなども頭をよぎりますが、示唆する所見がない。
不明熱かなあってことで
初期治療を実施します。
三日後、嘔吐の回数は少し減ったけど・・・
明らかな改善とまではいかず、発熱も続く感じ。
治療を少し変更してみる。
二日後、状態が変わらないってことで
ここで再度エコーを当てさせてもらいます。
あれ?これ詰まってんじゃない?ってなって
もう一度、ご家族に話を聞くと
最近は食べたものとかはなさそうだけど
異物を食べている可能性もあるんじゃないかということ。
エコー的には、腸閉塞っぽい感じですし
異物みたいなのが映っているので、多分食べていると思うんですが
もしかしたら開腹手術をしても何もないかもしれないです、というお話をさせていただき
翌日の昼に手術を実施。
無事に異物を摘出し、翌日に退院という形になりました。
明らかな異物の心当たりがない症例に対する
異物の診断というのはやっぱり難しいなという印象でした。
発熱していたという点も
発熱の鑑別疾患にやや頭を持っていかれ過ぎていたのかなというところで
診断までを難しくした要因なのかなと思います。
発熱の鑑別疾患ってなると
どうしても教科書的には
猫さんだと感染症か腫瘍かって話になってしまいますし。
この症例、阪口先生が最初診てくれていて
僕は裏で1回目のエコーの検査とかをしたり
血液検査とか身体検査所見から、考えられることを相談したりしていた感じでして
3回目の診察の2回目のエコーを当てた日が
僕が直接ご家族と話した最初の日だったんですが
症例について相談している時も
発熱の鑑別診断について
阪口先生とは結構話し合っていたので
結果的に消化管異物になるとは、その時は考えていませんでした。
僕自身も勉強になりましたし、阪口先生にとっても良い経験になったんじゃないかなと思います。
レントゲンに写る異物であったり
ご家族様が認識した上での異物の誤食に関しては診断は比較的容易でありますが
食べたかどうかわかんない、食べたものが何かわかんない、みたいな状況だと
色々と頭を悩ませてくれることも多いです。
やっぱり教科書に書いてあることが全てではないですね。
とりあえず、無事にお家に帰った猫さんですが
変な感染症とかではなくて本当に良かったなと思います。
今日はそんな猫さんのお話でした。
それでは。