倫理的
病状が末期的な状態になっている犬猫さんの治療に携わる際に
どこまでやるか?という点については
いつも悩まされる問題で
非常に難しいなあと感じます。
腎数値が跳ねているような状態の子に
全身麻酔をかけて、食道瘻チューブを設置して
投薬や食事のポートを作ること。
どっからが適応基準で
どっからが不適応基準なのか
いまだにわかりませんが
結局はご家族がやってほしいか否かというところが最終判断基準なんですよね。
ただ、日本人という人種は
どっちかというと
身体から管が出ているということに対して抵抗がある方が多いみたいで
提案はさせていただくわけですが
なかなか実施する機会はそこまで多くはありません。
見た目の問題だけでなくて
そこまでして食べさせたいのか、って話にもきっとなってくるんですよね。
犬猫さんの尊厳の問題とでも言いますか
動物倫理的な話になってくるんでしょうか。
ですが
やらない方が良かったかなということは今までになく
どちらかというと
思ったよりも良かったと考えているご家族様が多いような印象を受けています。
僕はどちらかというと
できるだけ自分の家の犬猫さんとかには1日でも長く生きて欲しいって
考えてしまうタイプですし
そこは何言われようがあんまり変わることがなさそうなので
人間のエゴだろ、という批判を受けたとしても
いや、本当にその通りです、と答えます。
何なら動物医療なんて人間のエゴの塊だって思っています。
僕自身の考え方ではありますが
犬猫さんは自死を選択しないんじゃないかなって思っていて
生きるってことは動物としての本能的なところに忠実なんじゃないかなって思ってます。
実際は話すことができないから、何考えているかはわかりませんが
でも、少しでも食べようとしたり、水を飲もうとしてるっていうことは
まだ生きようってしてるんじゃないかなと。
だったら、そこを人間が手伝ってあげても良いんじゃないかな?って考えで仕事してます。
だから、一般的に倫理的には引っ掛かるようなことでも
ご家族が望んで、病態が良い方向に向かうと考えらえる事であれば
何でもやってあげたいなって思いますし
希望を叶えてあげられるような病院の体制を整えていきたいなって思ってます。
別に万人にウケなくても良いですよね。
そもそも一般的には理解されないような層の方々が
当院の患者様としては主力な気もしますし
僕自身はそっち側の人な気もしますので
全員に共感してもらおうなんていう考えはハナから成立しませんし
させようとも考えていません。
動物と生活していない人からしたら
きっと頭のおかしいやつなんでしょうが
獣医なんてみんな似たり寄ったりなんじゃないかなと僕は思います。
そんなわけで来年の目標の一つは
そういう側面での新たな治療のチャレンジですね。
もしやる機会が訪れたらまた報告しようと思います。
それでは。