FASTエコー検査
FASTとはFocused Assessment with Sonography for Traumaの略称で
元々は、人間の救急医療の分野で
外傷で運ばれてくる患者さんを対象にした救急エコーが始まりです。
それがこの10年ぐらいの間に動物医療でも普及するようになり
胸部・腹部のFAST検査や肺エコーなどが広まっていきました。
当院でも急性の呼吸器症状のある症例や
急にぐったりした、みたいな犬猫さんは
先に処置室まで連れてきてもらい
身体検査の後に、酸素化と同時にエコーから入ることが多いです。
昔は肺水腫とか肺炎とかを疑う患者さんに対する
最初の検査は胸部のレントゲンだったと思います。
エコー検査と比較するとレントゲン検査は
多少動物にも負担がかかる場合もあるので
レントゲン撮影中に状態が急変した、みたいな話は
どこの動物病院さんでも一度は経験があったのではないかと思われます。
最近では、FAST検査の概念や検査手法の普及とともに
そういうケースは大幅に減ってきてるんじゃないかなと思っていました。
が、獣医師さん専用サイト内の統計調査で
『FAST検査を知っていますか?』的な質問に対して
約20%の人が知らなかった、と回答しており
50%以上の人が実施していない、と回答していました。
僕の印象だと
夜間救急動物病院の先生たちを中心としたグループが
色々と全国を回ってFAST検査を広めていった印象だったので
この結果にはまあまあ驚きました。
もちろん、この結果が全体を反映していない可能性もあるとは思います。
ただ、これだけ救急ブームみたいな動物医療業界においても
一定の知見を普及させるのには物凄く時間がかかるんだなと思いました。
そんな話をしても
患者さんから見て、その先生がFAST検査とかやってくれるかどうかなんて
わかんないですよね。
僕的な一つの指標としては
エコー検査の機械がどこに配置されているかによって
その動物病院がどれだけ救急症例に対して積極的に診療しているかが
ある程度わかるんじゃないかなって思っています。
当てようと思えば、すぐに当てられるような環境。
普段よく使う方の診察室の中に電源入れっぱなしでエコーが置いてある病院さんとかは
おそらく頻繁に使うので
結構そういう救急的な分野が好きなんじゃないかなと思いますし
逆に、エコー室とか言って
奥の方に電源入ってない状態でしまってあるような動物病院さんは
救急とかはあんまり得意じゃないか
昔ながらの考え方なんだとは思います。
内覧会とか、入院時の面会とか行かない限り
動物病院の中に入る機会なんて
そうそうないかもしれませんが
一つの参考になるんじゃないかなと思います。
機会があれば覗いてみてください。
それでは今日はこの辺で失礼いたします。