確証バイアス
人間は基本的に
自分の選んだ選択や意思決定を
否定されたり、批判されたりするのが嫌いです。
どんな意見でも参考にはなるから忌憚なく言ってね、とか言われたのに
馬鹿正直に相手を批判するような内容の発言をした途端
ムスッとした態度を取られたりするもんです。
それが人間だと思います。
自分が正しいと思い込んでいることや
そうあって欲しいと願っていることについて肯定的な情報が出てくると
そういった情報ばかりを鵜呑みにしてしまったり
似たような情報を集めて
自分の意見をなんとか肯定したいわけですね。
こういう心理的な傾向を確証バイアスって呼ぶらしいんですが
普段の診察の中でも
獣医師の頭の中がこういう思考になっちゃう傾向ってあるんじゃないかなと思います。
一週間前に○○という症状で病院を受診して
▲▲という病気が考えられるので、薬を処方しました。
今日はその再診日です。
薬を飲んでみてどうですか?という病院側からの問いに
患者様は次のように答えました。
『うーん、ちょっと良くなったような気もするけど
まだいつもの調子とまではいかないかな・・・』
これを良くなったと捉えるのか
薬の効果を認めなかったと捉えるのか
その症例によって大きく異なるとは思いますが
診察を担当している獣医師としては
良くなると信じて薬を処方している場合が多いので
『ちょっと良くなった気もするけど・・・』という情報を採用したくなるわけです。
もちろん明らかな症状だったり
客観的な検査の数値だったり
そういう誰が見てもわかりやすく良くなってくれていれば信じやすいわけですが
なかなか病気ってそういうものばかりではなく
本当に改善があるのかどうかの判断は慎重に行わないといけません。
獣医師1人だけでやっている個人動物病院だと
どうしても確証バイアス的な判断を下しがちなんじゃないかなと思います。
誰も同じ目線で批判してくれないですしね。
一つの動物病院の中に複数人の獣医師がいるメリットの一つはそこなんじゃないかなと。
院内でセカンドオピニオン、サードオピニオンが取れるって
それなりの強みだと思います。
まあ、院長の言うことが絶対!みたいな動物病院だったら
症例検討はあまり意味をなさないかもしれないですが
1人の症例に対して
活発な意見を獣医師同士が交わすような動物病院であれば
結果として動物やその家族にとってはプラスに働くことの方が多いように思います。
1人の犬猫さんの治療方針について
なんとか良くしてあげたい、という想いのもと
院内のスタッフみんなが意見を出し合って
建設的な議論ができるような
そんな動物病院って良いですよね。
うちもそういう風になりたいなあ、と
昨日獣医さんと話していて、考えておりました。
獣医さんも看護師さんも増やしていきたいです。はい。
それでは今日はこの辺で失礼いたします。