腸内細菌叢改善薬反応性腸症
2〜3週間以上の期間
慢性的に嘔吐や下痢などの消化器症状があり
消化管以外に明らかな疾患がなく
内視鏡検査などの病理組織検査で
リンパ球形質細胞性腸炎などと診断される一連の症候群を
慢性腸症と呼びます。
(最近だと慢性炎症性腸症という名前に変わってきてるらしいです。)
2016年の時点では、この慢性炎症性腸症の分類は
多い順番に
食事反応性腸症(FRE)、抗菌薬反応性腸症(ARE)、免疫抑制薬反応性腸症(IRE)、治療抵抗性腸症(NRE)
というような分類でありました。
世界的な抗菌薬の使用方法を改めましょう、という流れもあり
2022年の時点では
抗菌薬反応性腸症(ARE)に該当する子はほとんどいないですよーということになり
慢性炎症性腸症のごく一部の症例にしか抗菌薬は使用されなくなりました。
さらに2024年。
抗菌薬という名前が入っているから、使ってしまうんじゃないか。
ということで、こちらの論文では、新たな名前も出てきたそうです。

今まで抗菌薬反応性腸症(ARE)とされていたものが
こちらの論文の中では
Mr-MRE: microbiota-related modulation-responsive enteropathy
腸内細菌叢改善薬反応性腸症?的な
なんとも長い名前になりました。

(*図は上記の論文より抜粋しております。)
この腸内細菌叢改善薬の中には
プロバイオティクスやプレバイオティクス、シンバイオティクスや糞便移植など
腸内細菌叢を改善する可能性のあるものが含まれるようですが
まだ特定のコレといったものが決まってないみたいです。
今後、腸内細菌叢の解析が進んでいったり
糞便移植などの報告が増えていけば
慢性炎症性腸症の治療も変わっていくものと思われます。
慢性炎症性腸症の中には
食事療法を試しても
免疫抑制剤を使用しても
どんなことをしてもなかなか改善しない
いわゆる治療抵抗性の子も一定数いるので
そういう子のためにも
腸内細菌叢にアプローチする新たな治療方法が発展していくと嬉しいですね。
それでは今日はこの辺で失礼いたします。