犬のレプトスピラ症
先日、大雨の時にも触れたことでありますが
ちょうど今月号の雑誌の特集の一つがレプトスピラだったので
改めて書こうかと。
2023年にアメリカ獣医内科学会から
レプトスピラ症に関するコンセンサス・ステートメントが発表されました。
ここには、分類方法だったり、診断方法だったりが書かれてありますが
そんなことをこのブログで書いたって仕方がないですし
血清を検査に出すのか、尿を検査に出すのかとか
PCRだったり抗体価だったり
何を測定すれば良いのか、とかは獣医が知っておけば良いことなので
ここでは触れません。
というわけで、レプトスピラ症の概要について。
レプトスピラ症は
都市部の小型犬、生後11週齢の子犬、老犬、レプトスピラ症のワクチンが不十分な犬さんなど
わんちゃんの中で蔓延し続けている疾患です。
人間も感染する人獣共通感染症としても有名かもしれません。
その発生は全世界に認められ
特に、温帯、亜熱帯、熱帯地域に多くみられるとされていますが
地球温暖化の影響によって
発生地域は徐々に北上しているみたいです。
あとは、今年のように異常気象による洪水の発生だったり
都市部における下水道の発達によるネズミの増加
特定外来種の増加などによって
レプトスピラ症自体は世界的に増加傾向にあるとされています。
しかも、この傾向は日本においても同様とのこと。
ワクチンに関しても
打っておけばOKというわけでもなく
レプトスピラ症自体は、色々な血清型がありますので
ワクチンを接種していても血清型の異なるレプトスピラ症の発症報告があったりします。
なので、予防するんだったら血清型が多い方が良いとは考えておりますので
当院としましては
レプトスピラ症の予防をするなら基本的には10種の混合ワクチンを推奨させていただいておりますが
生活環境や生活スタイルなんかによって
患者様に決めてもらっている感じにしています。
レプトスピラ症は発症してしまうと
助からないことも少なくない感染症ですし
助かったとしても慢性腎臓病に移行してしまったりする尾を引く疾患です。
怖いですよね。
レプトスピラ症は細菌による感染症なので
もちろん不顕性感染(感染しても症状が出ない状態)のわんちゃんの方が
割合としてはかなり多いとは思います。
なので、大多数のわんちゃんは無症状で過ごしているんでしょうが
それでもやっぱり怖いですよね。
地球温暖化だったり異常気象だったりで
世界的にレプトスピラ症の発生が増加しているということ自体は
何となく肌感として感じるところでもありますし
今一度、そういう感染症があるんだなという認識は皆持っておくほうが良いと思いますし
混合ワクチン、何種を打つか?についても
再考する機会になるんではないかと思います。
とりあえず、レプトスピラ症については以上です。
何かご不明な点などございましたら
病院までお越しください。