総合診療科
人間の病院は専門科がきちんと細分化されておりますので
鼻水が出れば耳鼻科を受診し
お腹が痛ければ消化器科を受診するわけです。
でも、こういう症状ってどこの病院を受診すれば良いのだろう?ってなった時に
頼れる存在だったりするのが総合診療科でありまして
いわゆる不定愁訴みたいな症状でも
診断をつけてくれたり、専門科への紹介を行ってくれたり
どんな症状でも来い的な診療科です。
人間の方では、総合診療科の需要が最近高まってきているみたいですが
動物病院、特に一次診療は
まさしくその総合診療科そのもので。
ワクチンを打つ獣医さんが外科医になって軟部外科の手術もしますし
腎臓病を内科的に管理したりする一方で歯の手術をしたりもするわけです。
大体どの分野も網羅的な知識が必要になるように思います。
特に、中高齢以上の犬猫さんとなると
抱えている疾患が一つではなくて
二つや三つ、複合的に色々と持病がある子も少なくありません。
クッシング症候群の治療をずっと続けていたけど
慢性腎臓病の兆候が出てきたら、治療は中止しないといけませんので
クッシング症候群の治療薬を飲むことは難しくなってしまいますが
一方で、クッシング症候群は筋肉量を落としてしまう疾患でもありますので
腎臓病に良かれと思って始めた腎臓病療法食は筋肉量減少を生んでしまうかもしれません。
運動はしてほしいから動いてほしいけど
高齢なために関節炎なども併発する場合も少なくありません。
その場合の治療薬はどないしよう?って考えないといけません。
心臓病の治療で利尿剤を使用する際に
慢性腎臓病があるかないかも考慮しないといけない要素になりますし
その子の歯が悪くなってしまって
痛くて食べられないよーというような時に
全身麻酔をかけて歯科治療を実施するには
循環器疾患や腎臓病の知識だけではなくて
麻酔や疼痛管理の知識とか歯科疾患の治療についての知識も
必要になってくるわけです。
しかも、それぞれの疾患が進行すればするほど
各々の疾患に対する知識の深さや選択肢の広さなどが求められるわけで
正直、勉強に終わりが全然見えません。
専門医としてその道をゆく獣医さんも最近は増えてきていますし
それはそれでかっこいいなあとは思いますが
どうしても一つのことだけに集中できなかったり
色々なことに興味は持てますが
すぐに飽きちゃう性分の僕にとっては
広く深くを目指すことのできる総合診療みたいなのが向いているのかもしれません。
何より一次診療は患者様との距離が近いですしね。
動物達のことだけでなくて
ご家族ごとの事情に合わせて治療方針を組み立てていくこととかも含めて
本当にトータルのケアを考えていくのも
一次診療の面白さなのかもしれません。
今日はこの辺で失礼します。
それでは。