クッシング症候群について再考してみますかね。
昨日の夜、セカンドオピニオンの相談メールに
福岡の方から犬さんのクッシング症候群についての相談が来ました。
以前にも熊本の方からわんちゃんの同様のご相談をいただいていたこともあり
そのブログの記事だったりを見てくださったみたいで
今回は連絡をいただいた感じです。
他にも犬さんのクッシング症候群のご相談をいただく機会は
自分が思っていたよりも多く
モッチーもアメブロの方でコメントいただいてましたしね。
やっぱりわんちゃん内分泌疾患ランキング一位は伊達じゃないなって感じですか。
多分、臨床経験3年以上あれば
自分自身でクッシング症候群の犬さんを診察する機会は
どんな獣医さんだってみんなあるんじゃないかなっていうぐらい
遭遇率の高い疾患だとは思います。
昔から有名な疾患ですし
誰もが見たことがあるであろう疾患だからなのか
あんまり情報のアップデートがされていないケースが多いみたいです。
犬さんのクッシング症候群のことをPubmedで検索してみると
こんな感じで、最近も色々な報告が出ていたりします。
面白そうな報告ないかなあ、と見ていると
岐阜大学の西飯先生のグループの報告でしょうか。
クッシング症候群と犬さんの筋肉量を調査したものがありました。
クッシング症候群に罹患した犬さんの中で
筋肉量の低下のある子とそうでない子を比較した場合
筋肉量が低下している犬さんの方が、予後が悪そうな感じの結果になっていました。
当たり前っちゃ当たり前の結果なのかもしれませんが
筋肉量の維持というのはどんな病気でもすごく大事なポイントだと感じるケースは多いです。
クッシング症候群は、本当に筋肉量が落ちやすいですし
最終的には歩けなくなってきてしまうケースも少なくないので
如何にそうならないか、早めの対策が肝心ですね。
あと、こんなのもありました。
クッシング症候群の診断の際に実施する検査方法の一つである
低用量デキサメタゾン抑制試験について
その検査結果を5パターンに分類して
実際の臨床症状や他の検査結果などを照らし合わせて
臨床家は、こういう場面でクッシングを除外してしまっているんではないか?というような
そんな感じの報告をしてくれているものです。
これはもう少しきちんと読んで
診断に活かしていけるんじゃないかと思いました。
低用量デキサメタゾン抑制試験って
以前は、二番手・三番手のイメージの検査でしたが
去年のガイドラインでは
クッシング症候群を疑う時は、一番に低用量デキサメタゾン抑制試験
それでも診断つかないなら、ACTH刺激試験みたいな順になっています。
あと、ガイドライン上は尿中コルチゾール・クレアチニン比は除外診断として使用できるよ
みたいになっていますね。
低用量デキサかACTH刺激試験をどっちをやるかは
やや獣医師によって考え方が異なるような気もしているので
僕の中ではやや迷っている感じですかね。
今のところ
ACTH刺激試験と尿中コルチゾール・クレアチニン比を組み合わせて診断するケースが多いですが
今回の論文でちょっと低用量デキサメタゾンを実施する機会を増やすかも。。。です。
でも、低用量デキサメタゾンって
ストレスの影響を受けやすい、みたいな話を聞いたり。。
あと、デキサメタゾンを注射する前、注射して4時間後、8時間後の3回の採血が必要となり
その3回の結果の解釈によって診断していくため、やや煩雑な感じがあります。
こうやって改めてクッシング症候群について考えるのは
すごく大事なことですよね。
いざ、診断してからの治療薬の用量であったり
治療のモニタリングの仕方とかも
10年前とかとは大きく異なっていますから
昔からある犬さんのクッシング症候群ですが
情報はどんどんアップデートされていたりするのかもしれません。
ちゃんと勉強しないとなあ。
はい。頑張ります。
それでは、今日はこの辺で失礼いたします。
福岡からご相談したtkです。
ブログ記事早速読ませていただきました。
クッシングの怖さや複雑さについて、ネット情報や大山先生のアドバイスを頂くたびにクッシング症候群の大変さを実感しております。
お忙しい中親身になって下さり、最後にすがる思いでこちらに辿り着き、大山先生の判断にて実行しようと思っております。
メールは届いておりますでしょうか?
もしよろしければ、お手隙の時で全く構いませんのでメール内容をご確認いただきご返答いただければ幸いです。
メールに付け加えるのを忘れておりましたが、ACTH刺激試験は空腹で行うのでしょうか?
近くの病院にて問い合わせたのですが、インスリンとご飯はすませて良いとの事でした。
ネットには空腹でおこなうとあり、その点も疑問であります。
大山先生のような知識ある獣医師さんになかなか巡り会えない焦りと不安でいっぱいで色々と質問ばかりしてしまい本当に申し訳ありません。
>tk様
ブログの方にもコメントありがとうございます。
先ほど、メールの方には朝に連絡させていただきました。
遠方であまりお力になれませんが
何かしらの形でお役に立てれば幸いです。
tk様にとって良い動物病院さんと巡り会えることを願っております。
大山先生のアドバイス通りこちらの獣医と連携し、検査を実施し、結果はクッシング症候群ではありませんでした。
先生のメールの方にも御礼ながら報告させていただきました。
本当に感謝いたします。
ありがとうございました。
>tk様
ご報告ありがとうございます。
少しでもお役に立てて何よりです。
また何かございましたらご連絡ください。