点滴治療は怖い時もある
先日、猫さんの腎臓病のセカンドオピニオンで
お一人の患者様が来院されました。
その方は、当院の患者様からみなとまちのことを紹介されたそうで
その紹介してくださった方も
当院を初めて訪れた際は
猫さんの腎臓病についてのセカンドオピニオンを目的に来院された方でした。
猫さんの腎臓病について
紹介してくださる方が増えてきておりまして
診察・検査をさせていただく機会が増えており
本当にありがたく感じております。
ありがとうございます。
で、今回いらした猫さんのお話ですが
その子は、1週間ぐらい前に今年2回目の入院治療を受けておりました。
入院中の治療方法などの詳細はわからないのですが
どうやら腎臓の数値が高いことに対して
入院中、点滴治療を続けていたみたいです。
1回目の入院時には、その点滴療法によって
翌日には数値がすごく改善し、すぐに退院となったみたいですが
2回目の入院の際には
点滴治療をしても、どんどん数値が上昇していき
血液中のクレアチニンが9ぐらいから11ぐらいにまでなりました。
しかも、体重が5.4kgぐらいだったのが6.5kgまで増えてしまったそうで
明らかに入院中に浮腫んでしまったとのことでした。
最終的には、カリウムも8を超えて
その病院さんの先生から、もうダメかもと言われお家に連れて帰ってこられたとのことでした。
で、そこからご自宅で何もしないでいると
日に日に浮腫は徐々に取れていったそうです。
当院にいらしたのが、退院から6日目ぐらいだったので
体重は5.1kgになっていました。
で、もう一度現状を把握するために、血液検査・超音波検査・血圧測定をさせていただきました。
結果、クレアチニンは2.5ぐらいまで下がり
カリウムも2.9になっていました。
入院中の血液検査の推移と
当院でさせていただいた検査の結果を踏まえて
この子は、『腎うっ血』みたいな状態になっていたのかな、と僕は考えました。
ここのページにも書いてあるのですが↓
腎うっ血という状態は
心不全や肝不全で生じる体液貯留に伴って
中心静脈→腎静脈で血液が滞ってしまうことを指します。
近年、この腎うっ血という病態が、腎機能悪化の強力な危険因子として着目されているそうです。
この猫さんは、心不全や肝不全という病態はなさそうですが
超音波検査上、片方の腎臓が機能していない状態と思われたため
一つの腎臓だけで体液を処理しなければならず
その状況下に、過剰な点滴を入れてしまったため
過剰な体液貯留・浮腫を生んでしまい
結果的に、それが腎障害に拍車をかけたのかな、と推察されました。
もちろん、他にも薬剤性の腎障害だったり
原因があるのかもしれませんが
過剰輸液が病態を悪化させた可能性は十分にあると思います。
後医は名医という言葉もある通り
後からだった何とでも言うことはできると思うので
入院中の治療内容に関して、僕がとやかく言う権利はないとは思います。
ただ、点滴治療って
すごく効果的な治療方法になる時もあれば
こうやって動物を命の危険に晒してしまうことだってあるんだな、と
再認識させてくれる経験でした。
特にわんちゃんよりも猫さんの方が
輸液の負荷に対する耐性は弱い印象でして
浮腫になる子もいらっしゃいますが
中には、肺水腫になったり胸水貯留に陥ってしまったりする猫さんもいらっしゃいます。
輸液剤の種類や輸液の速度などにも大きく影響を受けるわけなので
改めて、そこら辺にはこだわって治療をしていかないとな
と考えさせてくれる経験となりました。
この子は引き続き、当院で経過を診させていただくこととなりました。
なんとか、上手くコントロールできるようにサポートしていきたいなと思っています。
それでは、今日はこの辺で失礼いたします。
いつもありがとうございます。
愛犬も変わらず元気です。
体重は3.5から3.6kgあたりです。フィラリア薬ギリギリの体重になるので、体重計とにらめっこ!といった感じです。
ずっと服用していた液体サプリを休薬し、2週間は経ちますが、体調良好で快便なので、今のところ整腸剤いらずです。
最近お散歩で歩くスピードが少し速くなったように感じます。
来月血液検査がありますので、また報告させてください。
>とっこ様
こちらこそいつもブログを読んでいただいてありがとうございます。
体重も維持できていて、便の状態も良さそうで何よりです。
お散歩もご年齢を感じさせないような感じでしょうか。
状態が安定しているというご報告をいただけるだけでも僕としては嬉しいので
また状況を教えていただければと思います。