診断をつけないこと
現在の動物医療における診療の考え方としてましては
問題志向型診療と呼ばれるものが主流です。
動物医療に限らず医療の現場でもそうされているはず。
具体的には
患者様が訴えている主訴であったり、動物が症状として示しているものだったりを
『問題点(Problem)』としてプロブレムリストを作成します。
その問題点の原因として考えられる疾患を鑑別疾患として列挙していき
その後、身体検査、血液検査、画像検査、特殊検査、場合によっては診断的治療などを経て
確定診断をつけていくといった流れです。
これが現在の動物医療のスタンダードな診療方法になっています。
と、思っていたわけですけれども
どうやらそういうわけではないみたいで。
先日、セカンドオピニオンで来院された患者様は
わんちゃんが一年以上前から咳をするということで他の動物病院さんに通っていたそうです。
で、診断名は?ってなるじゃないですか。
咳をしている原因は何なんだろう?って誰しもが思いますよね。
ただ、その病院の先生がおっしゃるには
診断名は『咳』だそうです。
うーん、って感じですよね。
また、別の猫さんの例に至っては
半年前ぐらいに腸に穴が空いてしまって手術をしたそうです。
そこからずっと吐き気止めの薬を処方されていたそうです。
で、何で腸が穿孔してしまったのかな?って誰しもが抱く疑問だと思います。
が、そこの先生は特に原因を探ろうともせず
病気の確定診断をつけようともせず
ただただ半年以上内服薬を処方するだけだったみたいです。
で、その状態で病状は非常に悪化し、急変したような状態で当院にいらっしゃいました。
他にも例を挙げ出したらキリがないですが
抱えている症状に対して
獣医さん側、動物病院側から考えられる疾患の名前であったり、原因を
患者様に伝えられていないケースが非常に多いように感じています。
確定診断に至らないまでも
可能性として考えられる疾患を列挙するぐらいなら獣医さんならできるんじゃないかなと
思うわけですが、そうならないみたいです。
このブログや望月の裏ブログの方を
静岡市の他の獣医さんが読んでいることは各方面で確認済みなわけですが
こうやって書いていても一向に何も変えてくれないのは
何でなんだろうな、と思うんですね。
そんなこと書くなよ、って感じですが
さっき例に挙げた猫さんのご家族は
同居猫さんをその1週間前に誤診で亡くしているそうです。
そういう事態が身近なところで日々起こっているのかあ、って思うと
やっぱり僕らとしても思うものはあるわけで。
自分らでわからんのなら紹介したらいいのにって思いますし
誰かに相談したら良いのにって思うわけです。
確かに長年獣医師としてやってきたプライドみたいなもんがあるのかもしれませんが
保身に走った結果がそれなんだったら
そんなもの守る必要ないんじゃないかなって僕は思います。
正直に、わからないから紹介させていただけないでしょうか、と
お伺いを立てる方が誠実な対応なんではないかなと。
まあ、そんなことを書いていて
自分たちはどうなのよ?って指摘されたら
確かに全ての分野の全ての病気を診断・治療できるわけではないですし
世の中にはうちよりももっと良い動物病院がたくさんあるでしょうし
自分らも精進しなければいけない立場ではあるとは思っています。
そこはもう本当にその通りですし
当院も僕自身もまだまだ発展途上です。
わからないから勉強しますし、他の獣医さんにも聞きます。
そうやって動物に対してご家族に対して
真摯に向き合おうとするから、より向上するんじゃないかなあと思うわけですが
難しいんですかね。
新しいことをやろうとするのは
めんどくさいですし、何より儲からないですし。
今まで通りの診療スタイルで続けるのが一番楽で安定しているんだと思います。
そういう動物病院を淘汰していくような力は自分たちにはないわけで
こんなとこで愚痴っぽく書き連ねることしかできないんですよね。
すみません。
永遠に書き続けてしまいそうなので、ここまでにしておきます。
気持ちを切り替え頑張ります。
それでは、今日はこの辺で。