犬さんの認知症予防
昨年受けたご相談の中で一番心理的に辛かったものに
『夜鳴きがひどいわんちゃんの安楽死をしてくれないか?』
というものがありました。
その方は、当院にはいらしたことない方で
最初は電話でのご相談でしたが
電話ですと上手く要領を得ないので
その日に診察に来ていただくことになりました。
で、その後、午後の診察でいらしたご家族様達は
非常に疲弊されているご様子で
内容は
一晩中泣き続ける状況が続いていて、できる限りのことをしたけれど
もうどうしようもないので、今日今から安楽死をしてもらいないか?
というような相談でした。
さすがに、僕もスタッフも皆動物がそれなりに好きでこの仕事についておりますし
何なら、動物の病気を治したいから続けている部分もありますので
今日初めましてのわんちゃんをいきなり安楽死をして欲しいという
お願いは断らざるを得ませんでした。
結局、相談の末に、鎮静剤のようなジャンルの薬剤を何種類か処方することになり
その薬によって夜寝てくれるようになったそうで
何度か処方させていただく機会がありましたが
その後、来院が途絶えてしまったのでどうなったのかはわかりません。
もしかしたら、亡くなってしまったのかもしれませんし
他の動物病院さんで安楽死を選択されたのかもしれません。
いずれにしろ、わんちゃんの夜鳴きは大きな問題であると思われます。
その子の夜鳴きの原因が認知機能不全にあるのかどうかは
検査をさせていただくことができなかったのでわかりませんが
実際に、認知機能不全が原因で夜鳴きに悩む犬さんのご家族様は多いように思います。
じゃあ、どうすれば良いんでしょうか。
夜泣きが始まってしまったわんちゃんを寝かすためにお薬を処方することは
最初の頃はそれほど難しいものではありません。
当院は、疼痛管理にも力を入れているので
どっちかというとそっち系の薬剤もそれなりに揃っていると思います。
抑肝散という漢方薬を使用することもままあります。
でも、それは
ただ無理矢理に寝かせてしまっているだけであって
いずれは薬剤の効果が弱くなってきてしまうこともありますし
薬剤を処方する側も、実際に飲ませてあげるご家族様も
なんだかすっきりしない気持ちがどこかにあるように感じることも少なくないです。
況してや、安楽死をするなんて
動物病院側はもちろんですが、ご家族が選択されること自体苦痛なんじゃないかと思います。
じゃあ、そういう状況になる前にどうにか予防できないのか?ってなりますよね。
で、認知機能不全・認知症を予防したいねって話です。
認知機能不全予防は人間と同様に
栄養と運動、あとは脳トレ的な感じでしょうか。
最近は診察の時にそういったお話をさせていただくことも多いです。
僕がやってみたいのは
認知機能不全・認知症予防のためのトレーニングを
中高齢以上のわんちゃんにやってもらうことです。
ドッグトレーナーさんに来てもらって
しつけ教室をやってもらおうと考えた一つのきっかけがこれです。
わんちゃんのしつけとはやや意味合いが異なるとは思いますが
トレーニングなんかに使用する知育トイ↓(動画のタイトルは変なので無視してください。)
こういうものを使用して
中高齢のわんちゃんがトレーニングをすることで
実際に頭で考えて大好きなおやつやフードを獲得できるので
ただ単にいつものフードを食べるよりも
脳トレにもなりますし
わんちゃんの狩猟本能みたいなのを満たしてあげることもできます。
こういうことを比較的若いうちから
普段の生活の中で継続していただくことで
将来的な認知機能不全・認知症予防につながるんではないかと考えています。
高齢のわんちゃんにとっては、運動することも非常に重要な要素なので
ちょっとした運動なんかを組み合わせるのもより効果を高めるんじゃないかなと思います。
そういう中高齢犬向けのトレーニング教室的なものをやってみたいと考えておるのですが
実際にどういう感じでやるか遠藤くんと相談しなきゃならんですし
どのくらいの方がご興味あるのか、できれば知りたいんですね。
当院のシニアケアの一つとしてやっていきたいなと思いますので
もし、何かご意見のある方は
こちらのコメントでも良いですし、インスタのDMや診察時にお声がけいただくでも
何でも良いので教えて下さい。
お願いいたします。
それでは、今日はこの辺で。