検査の意味
『動物病院に行くと毎回検査をされる』というような感じで
検査というものをネガティブに捉える方も
一定数いらっしゃるのかなと思います。
確かに血液検査にしろ尿検査にしろ超音波検査にしろ
検査をするにはそれ相応の費用が発生しますし
動物にとっても多少のストレスはかかる行為だとは思います。
そんな風に考えると
やはりマイナスイメージがついてしまう各種検査ではありますが
検査をすることによって得られるメリットも大きいと思います。
何かの検査をすると、病気が発見されたりして治療介入を勧められたりするので
『薬を出すために検査をする』というイメージがあるかもしれません。
ただ、検査の意義ってそれだけではないと思います。
例えば、犬さんがワクチン接種に行きました。
聴診された時に心雑音を指摘されます。
心雑音があるから心臓の薬を始めた方が良いと勧められます。
で、一生涯飲まないといけないと言われて
先生の言われるがままに投薬がスタートしてしまいました。
考え方によっては
聴診をしただけで病態を見抜いてくださり
必要な薬まで処方してださった先生は
余計な検査をしない素晴らしい獣医師として捉えられるかもしれません。
ただ、実際は心雑音の有無だけで
投薬が必要かどうかなんか判断できるわけがありません。
身体検査に加え、胸部のレントゲン検査、心臓超音波検査、血圧測定、心電図検査などを
総合的に判断して投薬の必要性を評価します。
これらの検査をすると、確かに一時的に費用はかかります。
ただ、余計な投薬はいらないと判断される可能性も十分にあるわけですね。
ある意味『薬を出さないために検査をする』って感じの側面もあるんです。
検査をして必要なタイミングで投薬をスタートするのが良いか
検査をしないでとりあえずでずっと投薬を続けるのが良いか
もしかしたら考え方は人それぞれなのかもしれませんが
僕としては必要のない薬を飲むわんちゃんは可哀想だなと思いますし
それを毎日続けないといけないご家族の負担も大きいんじゃないかなと思います。
なので、病態評価のために検査を勧めるようにしています。
実際に上記のような、心雑音だけ心臓病薬パターンで
数年にわたり心臓の薬を投薬し続けてきたわんちゃんにはちょいちょい出逢います。
検査をしたら腎臓は悪くないのに、腎臓が悪いから飲んでおきなさいと言われて
ずっと腎臓病の薬だと言われて飲み続けてきた猫さんも目にする機会は少なくありません。
そういうのってどうやったら無くなるのかなって考えたりしましたが
おそらく一定数いらっしゃると思われる、余計な検査をして欲しくない患者様と
検査が技術的に難しいからとりあえず薬を出したい動物病院側の
双方の意見が意外にもマッチすることがあるのだと思うので
根絶するのはほぼ不可能なんだろうなって思います。
ただ、検査はちゃんとして欲しいし、余計な薬を飲みたくないって考えている患者様に
そういう事が起こって欲しくないなって思うわけです。
だからやっぱりちゃんとした治療を受けたいなら、ある程度検査をした方が良いと思います。
心臓の薬をずっと飲んでるんですとおっしゃる患者様に
心エコー図検査を実施して、実際の動画なんかを見ていただいたりすると
こんな検査されたことないと感動していただくような場面は
本来あってはならないと思うんですね。
でも、毎月あるのが目の前の現実なわけで
なかなか世の中を変えるのって難しいんだなあと実感する日々なのです。
よくわからないことを書き連ねてすみません。
今日はこれぐらいで失礼します。
それでは。
検査が面倒だから検査を省き「一生この薬を飲みなさい」というのは患者の事を考えておらず医師失格と思います。
以前私の母も大病院で定期検診と複数の薬を処方されてましたが介護施設の医者に代わると随時検診&服薬不要になり今も元気です。
病院の過剰な検査やお薬処方は病院の経営や検査/製薬会社の利益の為(ビジネス目的)に行われており無くなる事はなく、患者自身の判断で自衛するしか無いと思います。
>藤井様
コメントありがとうございます。
患者様のことを考えない医療行為というものは確かに言語道断だと思いますが
余計な検査をしたり余計な薬を出したりする方が儲かってしまうシステム自体が問題なのかな、と個人的には考えています。
医師や獣医師の診断や治療の質なんかを客観的に評価できるものとかがあって
適切な治療を行なった医師が儲かるようなシステムだったら、もう少し世の中が変わるのかもしれません。
ただ、現状はそういうシステム作り自体難しいとは思うので
藤井様のおっしゃる通り、患者様が自分自身で身を守るための知識を持たないといけないのだと思います。
韓国の様に15%程度の韓方医師(東洋医学)と健康保険審査評価院があれば日本も医療の幅が広がり適正化されると思います。東洋に位置する日本で西洋医学信仰が強く営利主義的になりやすい背景には診療報酬制度があると思います。生活習慣、食生活、姿勢や気持ちの持ち方等医師が真に患者の為の判断・助言をしても診療報酬の点数(明細)を計上しにくく、利益を上げる為診療が検査→薬剤or手術の流れになりがち。保険適用の対人医療と異なり自由診療の獣医療は患者(動物)本位の医療が幾分やりやすいと思います。
検査の意味として不要な薬を出さないの他に“有害/無理な手術をしない”もあり、重要と考えます。
医者が医療の質や患者の利益よりも自院の利益を求めるあまり、不必要な投薬や無理/杜撰な手術をして患者を状態悪化or死亡に至らしめる事があってはならないからです。
上記の意味において必要な検査は行うべきであり、強い薬剤の投薬や手術は調査、計画、検討の上なされるべきと考えます。