犬の慢性腎臓病と高K血症への対応2023
今日は三連休の真ん中だったせいか
もしくは雨だったせいもあってか
診察業務がすごく落ち着いておりました。
そのため、診察の合間で
タイトルのセミナーを聴いておりました。
猫さんの慢性腎臓病の際には
血中のカリウム濃度は下がることが多かったりするのですが
犬さんの場合は、高カリウムが問題になることもしばしばあります。
今回のセミナーで、比較的新しい情報としては
高カリウムに対する経口のカリウム降下薬についてでした。
具体的な投与方法だったり投薬量の更なる検討はもう少し必要そうですが
結構良さそうな感じのデータが並んでいましたので
ちょっと使ってみたいなと思わせてくれたものでした。
あとは、どちらかというと復習みたいな感じでありましたが
皮下点滴についても述べられていたのが少し印象的でした。
IRISステージの1から2の慢性腎臓病の犬さんにおいて
飲水ができなくなったり食事が摂れなくなったりという症例はあまりおりません。
それにも関わらず
血液検査で腎臓の数値が高いという理由だけで
週に何回かの皮下点滴をルーチンワークとして義務付けられてしまう現状が
まだ日本の動物病院では散見されると述べられておりました。
皮下点滴は脱水時には非常に有用な水分の投与経路ではあるので
ステージ3以降であれば、必要な時には実施することもある治療手段だと思います。
ただ、それもあくまで脱水があるという場合に限定されるものであって
ずっと続けないといけないというわけではないと思います。
必要かどうかは症例の状態によって変わってくるということですね。
実際、昨日来院された犬さんは
今年の5月ぐらいに初めてセカンドオピニオンで来院された慢性腎臓病の子ですが
BUNが100ぐらいあって、Creが3.5ぐらいありますが
この5ヶ月の間、一度も皮下点滴は実施せずでコントロールしているような感じです。
皮下点滴が本当に必要かどうかは
診察をしてくれている獣医さんときちんと相談した上で決めた方が良いかと思います。
今回のセミナーの中でも
高ナトリウムによる高血圧や腎臓病への影響の話もありましたし
無闇矢鱈に皮下点滴をするということは
結構大量のナトリウムを体内に入れることを繰り返すことにもなると思います。
場合によっては、皮下点滴が慢性腎臓病の病態を悪化させている可能性だって
きっとあると思うんですね。
そこら辺を考えてくれる動物病院の数がもっと増えれば
腎臓病の犬さん・猫さんの生存期間はもしかしたらもっと伸びるのかもしれません。
大体の患者さんが一度皮下点滴を始めたら
ずっと続けているケースが多かったりで・・・
そうなると皮下点滴という習慣をやめるのは結構難しかったりするんじゃないかと感じています。
半年とか、一年とか
毎週毎週皮下点滴を入れている状態だったりすると
なかなかそれをいきなり切ってもいいものか悩みますし
切った瞬間にたまたま別のことで状態が悪くなったりすると
ご家族の心象もも良くないと思いますし。。。
皮下点滴も薬と一緒で、やめていく方法にもコツとかあるんだろうなあと、最近感じています。
なんだか愚痴っぽくなったので、そろそろ終わりにしますが
薬だって皮下点滴だって
必要な動物に必要な分だけ投与するのが理想的なんだと思います。
当たり前か。。。
それでは今日はこの辺で。