クッシング症候群について
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)はわんちゃんの内分泌疾患で
最も多い疾患です。
発生頻度が多いせいかご相談をいただくケースも多いので
関心のある方も多いのかなと推察されます。
ということで、本日は
2年半前のものではありますが
過去に聴いたクッシング症候群のセミナーを受講した際の僕のメモを
抜粋して書いていこうかなと思います。
少しでも何かのお役に立てればと思いますので良かったら読んでみてください。
クッシング症候群はステロイドが過剰に分泌されることにより
症状を示す疾患になりますが
その症状は多岐に渡り、症状によって発生頻度に差があります。
良くみられる症状として以下が挙げられます。
・多飲多尿
・多食
・パンティング(ハアハアと呼吸をすることです)
・腹囲膨満
・内分泌脱毛
・肝臓腫大
・筋肉の虚弱
・高血圧
クッシング症候群を診断する上で
上記のよくみられる症状のうち『二つ以上』が存在するのが基本となります。
その上で、診断を進めていくわけなので
症状のないクッシング症候群は治療対象とはなりません。
副腎が大きいという理由だけで薬をスタートするっていうのは違うってことですね。
これもセミナーの中で述べられておりまして
副腎が大きい=機能性の副腎腫瘍、というわけではない
ということには注意が必要です。
わんちゃんの4%で副腎が腫大しているというデータがあって
結構副腎大きいわんちゃん多いのね、となるわけですが
実際にホルモンの分泌が亢進している機能性の副腎腫大の有病率は0.05%だそうで
副腎が大きいからといってそれが機能しているかどうかは別ってことですね。
特に副腎の形態異常に注意すべき犬種さんとして
シーズー、ポメラニアン、コーギーさんなどが挙げられます。
ジムくんもそのうち腹部エコーで副腎のサイズをチェックしてみようかなと思います。
あとは、実際にクッシング症候群ですね、と診断されて
治療を開始した後に比較的良く遭遇するパターンとして
慢性腎臓病の併発がありますね。
一般的に慢性腎臓病のステージ分類にはこのブログでもよく登場する
IRISのステージ分類が用いられますが
クッシング症候群の患者さんにはIRISを適応してはダメなんですね。
どうしてもステロイドホルモンのせいで筋肉量が低下してしまうので
クレアチニン(Cre)が低い値として出てしまうんです。
また、クッシング症候群と慢性腎臓病の併発例におけるSDMAの意義もわかりません。
なので腎臓の方が怪しいかどうかはBUNとかK(カリウム)などを指標にしていくわけですが
BUNが50以上、Kが5.5以上は危険の目安だとセミナーの中では述べられておりました。
慢性腎臓病が明らかに出てきた場合は
クッシング症候群の治療薬であるトリロスタンの投与は中止した方が良いと言われております。
これは、クッシング症候群よりも慢性腎臓病が
そのわんちゃんお予後を決める因子となるからだと言われておりました。
なので、当院でも慢性腎臓病が出てきた子はトリロスタンを休薬しております。
もうちょっとクッシング症候群の治療におけるモニタリングとかについて
書いて行きたかったんですが
なんか長くなってしまったので
とりあえず、今日はこれくらいで終わりにします。
続きは明日にでも書きますね。
それでは。