健康診断の狭間
先日の勉強会で他の獣医さんと話している時の
ちょっとした話題になったのが
健康診断をして数ヶ月後に病気が見つかった子の話でした。
その子は3月に健康診断をして
『何もないです。大丈夫ですねー』ってなったそうなんですが
6月に腹腔内の腫瘍が破裂して
腹腔内出血による出血性ショックみたいな状態で病院に来院されました。
健康診断をしてから3ヶ月後の出来事でした。
当院でも時系列の何から何まで
全くと言っていいほど同じような出来事がありました。
こういう時に動物の身体に流れる時間の早さを痛感します。
3ヶ月という期間が空くと
動物の身体の中は大きく変化します。
そんなこと動物病院で勤める人だったら誰でもわかっているわけですが
いざ実際に目の当たりにすると
結構ショックが大きいように思います。
春に健康診断してもらって
何もないから大丈夫だよって言われたのに・・・
と、ご家族様のショックももちろん大きいと思います。
ただ同じくらい健康診断をした病院側のショックも大きいと思うんです。
せっかく全身調べさせてもらって大丈夫と思っていたのに・・・、みたいな。
どうしたらいいんでしょうね。
人間が人間ドックを年に一回行うことを推奨されるのであれば
4倍のスピードで年を重ねるのであれば
3ヶ月に1回健康診断しましょう!とか言うべきなんでしょうかね。
確かに、そういった考え方の元
実際に当院の患者様の中にも、そのペースでほぼ全ての検査を行っている方はいらっしゃいます。
ただ、大多数の患者様にとっては
少し現実的ではないように思います。
じゃあ、どうしたらいいのかなあって考えた時に
病院で病気を早期発見するための健康診断には
どうしても穴が出てしまうということを念頭に置いた上で
日頃から自宅で体重を測る習慣だったりを設けてもらうのが
実は一番病気の発見に繋がるんじゃないかとか考えています。
食欲も元気もあるし
他に症状は特にないけど、2週間前と比べて5%ぐらい体重が落ちてるなあ
みたいな感じだと病気の早期発見に繋がることが多かったりします。
食べてるのに痩せてきているのも問題ですし
実は食べている量が以前よりも減っていたことがそれで発覚するかもしれません。
体重を測るだけなら動物にとっては痛みも何もないですし
負担のないモニタリングツールだと思います。
どうしても自宅で測定するのが難しいのなら
病院に来て月に一回体重測定するだけでも良いと思います。
健康診断でたくさんの検査をするのも定期的には必要だと思いますが
体重測りに来ていただいたり
僕たちにお顔を見せていただくだけでも病気の発見に繋がることだってあると思います。
病院は遊びに来るところではないかもしれないですし
病気なんて見つけたくはないかもしれませんが
定期的に遊びに来ていただいたりするのも
意外と早期に病気を見つけるチャンスだったりするかもしれません。
僕たちは僕たちで
動物病院に来るという心理的なハードルを下げられる努力をせねばなりませんね。
『こんなことで病院に行っていいのかな?』と聞かれる場面は少なくないですが
病院に来てもらって怒る獣医さんはいないと思うので
気軽に来ていただければと思います。
病院が新しくなってもそういう雰囲気であり続けたいですね。
それでは、今日はこれくらいで失礼いたします。