引き算の美学
何かしらの病気を抱えている動物がいたとして
その病気による臨床症状を呈していたとします。
その症状を良くするために
必要な薬の量が100だとした時に
薬を100出す先生と120出す先生と150出す先生の
どれも症状は良くなるわけです。
(あくまで例えですよ。)
それが安全性が高い薬で
300ぐらい飲まないと明らかな副作用みたいなものが発生しない場合
治療を受ける側としては
100だろうが120だろうが150だろうが、症状が良くなったという結果に変わりないわけです。
同様に多剤を併用する場合
薬のAとBで良くなるケースがあったとして
同じ症例にAとBとCの薬を併用したり
プラスαでDというお薬を追加したりした4種類併用パターンであったとしても
症状が良くなるという結果に変わりはないわけです。
僕が内科医として目指すのは
ぴったり丁度いい処方というもので
上記の例だと、ぴったり100やAとBだけ処方するというのを目指してやっているんですね。
必要最低限の薬を出すって感じです。
不必要な部分は削って削って
必要な部分だけ残していく、そんな感じです。
薬だって化学物質なわけで
飲むことで病態を改善する可能性のないものや
休薬したからといって何か問題になるものでもないような薬は
あまり使いたくはないわけです。
逆に飲むことで症状や病態の改善が期待されたり
飲まないことの方が動物の不利益に繋がるような薬剤は
できるだけ飲んで欲しいんです。
そうやって診察をしようとすると
昨日の抗菌薬の話みたいな感じで
診療技術だったり知識だったりが向上するほど
使用する薬剤の種類は減らすことができる可能性があるわけなので
動物もご家族もハッピーなはずなのですが
それは逆に言えば、医療費の低下に繋がるんですね。
動物病院に払うお金が減るということは
動物病院からすれば売り上げは落ちてしまうわけでして
望月がアメブロに書いていた
『何もしなくていいという獣医師の判断』にお金を発生させることが難しい日本の現状では
僕が求める内科医の引き算の美学的要素は
何の価値もないどころか
寧ろマイナスなんじゃないかとも思えてくるわけでして。
なんか難しいですね。
求めるべき方向性がわかんなくなってきますね。
とりあえず、今日はこれくらいで失礼します。
それでは。。。