猫さんの変形性関節症にソレンシア
以前にこのブログでも裏ブログでも取り上げていたソレンシアという
猫さんの変形性関節症・骨関節炎の痛みに対する新しい治療薬が2月に発売されました。
昨日はその発売記念セミナーの第二弾でした。
今日はそのセミナーについてでも書こうかと思います。
突然ですが、皆様に質問です!
あなたの家の猫さんは普通に・・・
1.ジャンプしますか?
2.飛び降りますか?
3.階段やステップを登りますか?
4.階段やステップを降りますか?
5.走りますか?
6.物(おもちゃや獲物)を追いかけますか?
これら六つの質問に
一つでもNoと答えた猫さんの
55%は変形性関節症があるというデータが2020年に発表されております。
逆に全てYesの猫さんの中で変形性関節症だった子は3%しかいなかったそうです。
別の報告では
12歳以上の猫さんの90%が変形性関節症・骨関節炎に罹患しているというデータがあります。
えぇー、って感じのデータですが、実際にそうみたいです。
幸いにも僕自身はまだ特に体感してはいませんが
人間も歳をとってくると膝や腰に痛みが生じると言われると
納得いただける方も多いかもしれません。
それは猫さんも同様だということです。
問題なのは
猫さんは我慢強い動物ですので
基本的には臨床症状を隠してしまいます。
その結果症状がすごくわかりにくいというのが特徴で
猫さん自身は痛みを感じていても、人間がそれに気づいてあげられていないということです。
変形性関節症・骨関節炎の猫さんのほとんどが
『歳を取ってきたから』という理由で片付けられてしまっているのが現状かと思います。
変形性関節症・骨関節炎の猫さんに認められる症状としては以下のものがあります。
当てはまるかどうかチェックしてみてください↓
・ジャンプができなくなる。
・高いところから飛び降りれない。
・階段を登らない。
・あまり動かない
・よく眠る。
・あまり遊ばない。
・トイレ以外で排泄
・グルーミングができない。
・爪が伸びている。
・被毛の状態が悪い。
・人との交わりを避ける。
・昔より怒りやすくなった。
・食欲低下。
・跛行
こんな感じです。
もちろんこれらは関節炎だけで起こるわけではないですが
これらにチェックが入る猫さんは一度関節炎の可能性を考えてみても良いかもしれません。
関節炎が起こりやすい部位として
膝、手首、肘があげられますが
歩き方に異常がでる子は20%以下です。
歩き方だけに注目してもわからない疾患ということですね。
こういった関節炎による痛みは
猫さんの生活の質を間違いなく低下させます。
人間もずっと痛いと辛いですよね。
この痛みを和らげてあげることで
歳だから活動量が落ちたと思い込んでいた猫さんが
実は痛くて動けなかったんだなということがわかるかもしれません。
今回新発売されたソレンシアという薬剤は
月に一回の注射薬になります。
痛み止めというと一般的には腎臓への負担などが心配される点かと思いますが
そこらへんの安全性が充分検討されているのがこの薬剤の一番の魅力かと思います。
デメリットは費用面でしょうか。
抗体薬という特性上
安全に使用できるというメリットが大きい反面、薬の値段が高くなってしまいます。
7kgまでの猫さんなら一回の注射が1万円ぐらいかかります。
およそ7割弱の子が一回目の注射から効果が実感でき
2回目でおよそ75%ぐらいの猫さんの臨床症状が改善するようです。
月に一回一万円の注射薬で、猫さんの生活の質が向上する可能性があるのであればやってみるかどうか、という感じでしょうか。
僕は昨日のセミナーで実際に使用された猫さんの動画を拝見しまして
17歳や19歳の歩くのがとても辛そうだった猫さんが
自由に歩き回れるようになった姿を見て感動を覚えました。
もしご興味のある方は、ご気軽に病院にて相談してください。
それでは、今日はこのへんで失礼いたします。
上記のvetstechさんのセミナー画像に関して質問なのですが、
担当者に許可を取って記事に掲載されておりますでしょうか?
>vet様
ご心配のコメントをありがとうございます。
vetstech様に確認させていただき、写真の掲載はダメということでしたので
謝罪させていただき、写真も削除させていただきました。
この度はお忙しい中、わざわざご指摘いただきありがとうございました。
動物用医薬品等データベースを見ますと
ソレンシアを投与後、死亡した事例が25件ほど報告されています。
但し、因果関係は不明となっておりますが。
我が家の猫も甲状腺亢進症になっておりましたが
ソレンシア投与後に脱水等の腎不全症状が現れ
毎日のように点滴をしましたが2週間後に亡くなりました。
データベースには載っていません。
きっと掲載されていないだけで亡くなる事例は
もっとあるのではないかと思っています。
>sr様
猫さんのお辛い経験があるにも関わらず、コメントしていただきありがとうございます。
確かに動物医薬品等データベースにはそのように報告されておりますし
そのこと自体は先日のセミナー内でも質問がありましたし、販売元のゾエティスさんの方でも議題に上がっているそうです。
セミナーの中では、先行した発売されていたヨーロッパ諸国などにおいては
同様の有害事象の報告がなかったことから関連性は否定的な感じで述べられておりましたが
実際のところ薬剤による有害反応かどうかの判断は難しいとは思います。
個人的には
日本の獣医療現場におけるソレンシアの適応基準がやや曖昧になってしまっていることが問題なんじゃないかと考えておりまして
状態が悪い症例や状態が悪いけれどもそうとは認識されていない症例に対して
ソレンシアが多用される傾向にあることによって
投与後の死亡例が多くなってしまっているように感じております。
猫さんの状態をきちんと把握した上で、使用を検討することが大事だと考えております。
マンチカンが1歳になったため健康診断でレントゲンをとった所、先天的パテラと診断されました。今年の7月から毎月このソレンシアを注射しています。今のところ副作用もなく高いところからも飛び降りるようになり、効き目を実感しています。ペット保険も適用になり、かかりつけ医も良心的で費用は3000円もかからないぐらいで済んでいます。
>きなこ様
貴重な経験談をコメントいただきありがとうございます。
ソレンシアも個人的にはとても良い薬剤ではないかなと考えています。
猫さんにとって自由に運動ができるということは、生活の質の改善にかなり寄与しているのではないかと思いますし
これからも症例の選択をきちんと行った上で使用し続けたいと思います。
すみません。先程の投稿、9:21 名前は匿名でお願いいたします。
>white cat 様
先ほどのこちらのコメント↓について返信させていただきます。
『マンチカンで7歳です。歩行異常があるので(びっこをひく)獣医さんに連れて行ったところ、関節炎の診断でソレンシア注射を受け普通に元気に過ごしています。副作用が少なく安全とのことで毎月注射を受けることはいいのですが抗体薬の性質上、身体が薬に慣れて効きが悪くなる事はないのでしょうか?走ったり跳んだり元気があるならもっと悪化してから使用するべき薬でしょうか?びっこをひいて歩く割には走り回っています。
ソレンシア自体は痛み止めで関節炎を改善する薬ではないですよね』
詳しい薬剤に関するデータなどを持っていると思いますので
製剤に関しての問い合わせは直接、製薬会社の方に聞いていただく方が確実だとは思いますが
個人的な意見として書かせていただきます。
ソレンシアは抗体薬なので、性質上効果が薄れてくる可能性は低いのではないかと思います。
薬剤の効果が落ちる場合、薬剤が作用する受容体の数が減ってしまったり、薬剤を分解する酵素が誘導されたりが主な理由ではありますが
そこらへんの機序が起こりにくい薬剤なのではないかと推察されます。
痛みが生じてしまうと、運動量が減り筋肉の減少などにもつながり
他の臓器などへの影響も懸念されるので
薬剤の効果が認められたのであれば、悪化するまで待つのではなく、使用し続ける方が良いのではないかと僕は考えています。
(獣医さんによって考え方に差があるとは思うので、かかりつけの先生とよくご相談される方が良いかと思います。)
関節炎自体を根本的に治すわけではないにしろ、痛みを減らし生活の質を保つことは猫さんにとって非常に重要だと思います。
ソレンシアの薬害事例を探していてこちらに辿り着きました。
我が家の16歳になる三毛猫(既往症は甲状腺機能亢進症、チロブロック1.25を朝晩1錠ずつで発病以来ずっと正常数値で直近は24年1月に検査で問題なし)に24年3月に打った所、3日目より食欲不振、嘔吐、7日目に検査に行くと発熱、F4,FT4ともに今までになかったかなり悪い数値に悪化、肝数値は上限振り切って測定不能、黄疸、炎症数値が基準値の10倍となりました。点滴と薬の増量や強制給餌で1週間目をピークに徐々に下がり1か月目でようやく元の数値に戻りました。
データベースには載っていません。
死なせてしまうかと思いました。獣医師さんが思っていらっしゃるよりかなりこのようなケースがあるのではないかとお思います。
>calico catty様
コメントありがとうございます。
症状と薬との因果関係を証明するのはとても難しいことだと思います。
胆管肝炎などにおいても同様の経過を辿ることになると思いますので
ソレンシアによって症状を引き起こしたかどうかは、議論の分かれるところだと思います。
その先生のお考えはわかりませんが
ソレンシアとの関係があるというお考えでなかったために、データベースには報告されなかったのかもしれません。。
キジ白18歳オス。左前足が変形性関節症です。
ソレンシア注射初回は、打ったその日から劇的に改善、喜んだのも3週間で、次は17日で効かなくなりました。
今回3回目の注射を打った後、医師の提案はサプリと併用すること。またステロイドを使うか検討することにしました。
腎不全、心臓病もあり、せめて痛みだけは軽減させてやりたいです。
ちなみに医師の言葉ですが、初回の注射はどの猫もよく効くとの事でした。
>ろみお様
コメントしていただきありがとうございます。
ソレンシアの注射薬は一般的には、打った直後に効くというよりは
少し時間が経ってから効果を認める方が多いと思います。
また、初回投与後よりも繰り返し投与をした時の方が効果を認めるというデータが報告されています。
ステロイドは変形性関節症の治療としては推奨されないと思いますので
サプリメントを併用される方が良いのではないかと思います。
スコティッシュフォールドの男の子、一歳になったばかりです。
誕生日を迎えるまでは、、人一倍ジャンプが得意で、狩りがが好きで好きでたまらず、毎日元気に遊んでおりましたが、急に夕方になるとふさいだ感じになり、寝てばかりで、好きな遊びも寝転がってするようになり、レントゲンを撮りました。やはり右足のかかとの骨が白く映っており、獣医師からソレンシアを教えてもらい、色々調べたいと思い辿り着きました。
まだ一歳なのに、一度打ったらずっと続けなくてはならないのですよね?
長く続ける事による副作用や身体に影響が知りたいです。
何もわからないのでお恥ずかしいですが、失礼な事を聞いていたらスミマセン。
>じじまるこ様
コメントありがとうございます。
スコティッシュさんということですので、骨軟骨異形成症の可能性が高いと思われます。
すでに症状が出ているのであれば、ソレンシアを使用してあげた方が良いと考えます。
ただ、ずっと続けていかないといけないかどうか、投与間隔をずっと月一回にするべきかどうかに関しては
症状を観察しながらかかりつけの先生と相談される方が良いのではないかと思います。
また、副作用に関しては、急性のアレルギー反応のようなもの以外はほとんど起こらないのではないかと思われます。
ですが、ソレンシア自体がまだ上市されてから日の浅い薬剤ではありますので
5年、10年以上使い続けた場合の副作用に対する検討がなされているのかどうかに関して、僕自身が情報を持ち合わせていないので
正直わかりません。申し訳ありません。
副作用の調査については、薬品メーカー様に直接お問い合わせいただく方が良いかもしれません。