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本日、初診の方からお電話がありました。

『以前、動物病院でワクチン接種を行おうとした時に

わんちゃんが看護師さんを噛んでしまいました。

そういう行動を抑えることのできるようなお薬で

来院前に飲ませて病院に連れて行けるようなものはないですか？』

そんなニュアンスのお電話でした。

そういうことでしたらということで、この論文を引用します↓

ややテキトーに訳すなら

『動物病院に来院した時にわんちゃんが感じるストレスにどのくらいトラゾドンが効果あるの？』

みたいな感じの報告です。

この報告の最後のところには

A single dose of trazodone before transport reduced signs of stress during veterinary visits for dogs

in the present study and may be useful as an anti-anxiety medication for similarly affected dogs,

potentially resulting in higher-quality clinical examinations and improved patient welfare.

と記載があります。

『来院前にトラゾドンを飲ませてあげることで

動物病院でのわんちゃんのストレスを軽減することができ

より質の高い検査が得られることによって

患者さんの福祉向上にもつながるんじゃないかな。』

という感じですね。

動物病院って

わんちゃんにとってはあんまり良い思い出にならない場所です。

不安やストレスで押しつぶされそうな犬さんも少なくないと思いますし

その結果としてご家族や病院スタッフを怪我させてしまう、なんてことも少なくありません。

そうすると、どうしても病院から足が遠のいてしまいますし

結果的に病気の発見が遅れてしまったり、きちんと検査ができなかったりと

わんちゃん自身が損をしてしまうことにもなりかねません。

それを和らげてあげるためにトラゾドンが有用なんじゃないか？という報告でした。

で、冒頭のわんちゃんですが

体重を教えていただき、一度お薬を取りに来ていただいてご自宅に戻っていただき

無事に診察のための来院前に投薬することができました。

僕たちはその子に対して初めましてだったので

今までとの比較をすることはできなかったのですが

ご家族としては、大変満足のいく結果だったご様子でした。

次回の診察用にも来院前のお薬がほしいとのことでしたので、処方させていただきました。

こういった来院前に抗不安作用のある薬剤を投与することは

わんちゃん自身も不安から解放され少し楽になりますし

ご家族も心配事がなくなりますし

何より僕たち動物医療従事者も身体検査を含めた色々な検査をしやすくなります。

薬も比較的安全に使用できる薬なので、使わない手はないように感じました。

もちろん薬剤の効果には個人差がありますし

中には効きにくい子や効きやすい子がいるとは思います。

ですが、一度試してみていただいて良好な結果を得られるのであれば

動物病院だけではなく

わんちゃんが不安や緊張を強いられる場面の少し前に投薬していただくのは

わんちゃんへの精神的なケアとして良いことなのかもしれません。

イメージは車酔いしちゃう子が車に乗る前に酔い止めを飲む感じに近いと思います。

ご質問やご相談などある方は

ご気軽に病院までお越しいただければと思います。

それでは、今日はこのへんで失礼いたします。