犬さん・猫さんの慢性腎臓病について①〜診断〜
昨日はすごく落ち込みましたが
いつまでも落ち込んでないで今自分にできることを続けていきたいと思います。
犬さんも猫さんも慢性腎臓病のセカンドオピニオンで来院される方がかなり増えています。
なので、改めて当院の行っている犬さん猫さんの慢性腎臓病についての検査・内科的な管理方法について書いていこうと思います。
ブログなので、まとめサイト的な感じではなく
つらつらと書き連ねていきます。
読みにくいかもしれませんが、ご興味のある方は参考にしてみてください。
最後までいくとかなり長くなりますので
何回かに分けて連続投稿にしようかと思います。
1日に複数回投稿というのもやってみようと思います。
ひたすら書き連ねているので、誤字脱字はご容赦ください。
ご質問は直接聞いていただければと思います。
じゃあ、早速書いていきます。
まずは診断から。
慢性腎臓病というのは、あくまで『慢性』的に腎機能の低下を認めなくてはなりません。
なので、基本的には一回の検査で診断をつけるものではないと思います。
もちろん、かなり進行している状況であれば
別件で血液検査などを実施した時に
この子は以前から慢性腎臓病があったのだろうな、と推察できるケースは少なくありません。
ただ、例えば血中のクレアチニン濃度が2の後半とか3を超えてくるような状態よりも前から発見していくことができるケースが多いと思いますし
できるだけ早めから慢性腎臓病を見つけたい!という気持ちの中での
慢性腎臓病の診断について述べていきたいと思います。
診断については、IRISの国際基準に則って行なうことが多いです。
診断やステージングに関する、具体的な数値はこちらを参照していただける方が良いかと思います。
多くの場合は、健康診断目的の血液検査でBUNやCre、SDMAなんかの数値が高かったり
多飲多尿の症状があって尿検査をしてみたら、尿比重の低下や尿タンパクが検出されたり
そういったことがきっかけで見つかるケースが多いように思います。
あとは、尿道閉塞や重度の脱水などによって急性腎障害を引き起こし
治療によって数値は改善したみたいな子も
血液検査の数値は問題ないかもしれないですが
ステージ1の慢性腎臓病として考えた方が良いという先生もいらっしゃいます。
いずれにしろ
慢性腎臓病の可能性があるかも?となった子に関しては追加で色々と調べていきます。
血液検査では、BUNやCre、SDMAのモニタリングはもちろんのこと、カルシウムやリン(当院ではマグネシウムを測ることも)
ナトリウムやカリウムといった院内でみられる検査から
FGF23を追加検査で出すケースも増えてきました。
慢性腎臓病のステージによっては血液ガス測定も実施することが今後増えてくるかもしれません。
尿検査ではUPCという蛋白尿の定量検査を実施し、どのくらい蛋白尿が出ているのかを検出します。
それに加えて、レントゲン検査や腹部超音波検査を実施することによって、腎臓病以外の疾患の有無、腎臓腫瘍や腎結石の有無、腎臓の構造破綻がないかなどを調べます。
あとは、血圧測定ですね。
症例によってはなかなか測定が難しい子もいらっしゃいますが
可能な限り測定します。
以上の結果を総合的に判断し
今現在、慢性腎臓病と言えるのかどうか?
慢性腎臓病だとすればどのステージにいるのか?
今の時点で必要な治療は何なのか?
今後どのくらいの頻度でモニタリングが必要なのか?
というような内容をその子に合わせて検討していきます。
まとめると
血液検査・尿検査・血圧測定・レントゲン検査・超音波検査などを色々と検査しないと
慢性腎臓病のきちんとした病態把握というものはできませんよ、という感じです。
『これだけで本当に慢性腎臓病と言って良いの?』と疑問を感じられた方は
ぜひ一度当院までお越しいただければと思います。
次は治療編に入っていきたいと思います。
それでは①はこれで終わりです。