みなとまちアニマルクリニック(清水区動物医療センター)は、心臓病・腎臓病・麻酔に力を入れている動物病院です。

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犬さん・猫さんの慢性腎臓病について③〜治療編その2『腎臓病療法食とリン吸着剤』〜

はい。慢性腎臓病について③は

具体的に治療の選択肢を掘り下げたいと思います。

今回は腎臓病療法食とリン吸着剤について。

まずは腎臓病療法食についていきます。

腎臓病療法食は、前回挙げた治療の選択肢の中では

ターゲットになる病態が多い治療方法となります。

具体的には、尿毒症、蛋白尿、代謝性アシドーシス、ミネラル代謝異常などが

治療の標的となるようなイメージです。

一つの治療方法で、たくさんの病態に対処できるのは素晴らしいと思います。

以下に腎臓病療法食の効果・メリットを書いていきましょう。

  • タンパク制限食による腎臓の負担を軽減できる。
  • 尿毒症の元となる窒素代謝物を減らすことができる。
  • 生存期間の延長のエビデンスが犬さんでも猫さんでもある。
  • ACE阻害薬と比較して、優位に蛋白尿改善効果がある。
  • 療法食摂取により血中リン濃度も低下する。
  • 血中のFGF23濃度を下げることも証明されている。

こんな感じです。

どんな治療もそうですが、メリットだけではありません。

もちろんデメリットや注意すべき点というのがございます。

以下にそれを書いていきます。

  • タンパク質の制限は筋肉量の低下を招く恐れがある。(体重減少に注意)
  • 一部の猫さんではリンの制限しすぎによって高カルシウム血症になる可能性がある。
  • 食事中のカルシウムとリンの比を適切に保つのが重要。

注意点はこのような感じです。

腎臓病療法食は適切に使用すれば、すごく効果的な治療方法の一つです。

リン制限だけかけるのか、タンパク制限も必要なのか?

そこをFGF23の数値や蛋白尿の存在などを考慮に入れた上で

選択していくのが重要になります。

昔みたいに『クレアチニンが高いから腎臓病療法食をあげましょう』

というような感じではなくなってきているのが現状です。

なので、病院で腎臓が悪いと言われたからといって

すぐに腎臓病療法食をネットやホームセンターで購入しスタートするのもあまりオススメはいたしません。

次はリン吸着剤についてです。

投与することによって食事中のリンの吸収を抑えることで

血中のリン濃度が上がらないようにしようというのが治療のコンセプトとなります。

何でリンが上がらないようにしようとするのか?

高リン血症が生存予後に悪影響を及ぼすことがわかっているからですね。

わんちゃんの報告では、リンが高い子の方が

生存期間が短縮してしまうことがわかっておりますし

猫さんの報告では死亡リスクが上昇するとされております。

IRISのガイドラインにおいても、慢性腎臓病のどのステージにいるかによって

およその目標のリン値が決められております。

で、先ほど挙げた腎臓病療法食を給与してもリンが上がってきてしまう子に関しては

追加の内科療法としてリン吸着剤の投与を検討します。

大きく薬剤系のものとサプリメント系のものがありますが

僕のイメージでは、慢性腎臓病に対して専門的に取り組まれている先生方は

薬剤系を用いるイメージです。

一人の先生は、サプリメント系だと多くは含まれている薬の量が少な過ぎるため効果があまり期待できないとおっしゃっておりました。

というわけで、当院においてもレンジアレンという商品名の鉄剤が入ったサプリメント以外のサプリメントは今使用しておりません。

薬剤系に関しては、炭酸カルシウム製剤、水酸化アルミニウム製剤、ランタン製剤、セベラマー、クエン酸第二鉄製剤など種類が色々とありますが

先生方によって好みがあるようです。

リン吸着剤として売られている動物用サプリメントと比較して、値段は安く効果が高いことが多いので、費用対効果はとても良いですね。

それぞれ使い方に注意事項もございますので、実際の使用時には獣医師の先生とご相談ください。

慢性腎臓病について③はこのぐらいで終わりにしたいと思います。

次回は何にしましょうか。

蛋白尿に対する治療か、高血圧に対する治療か・・・

その辺について書いていきたいと思います。

長々とすみません。

ご興味のあるところだけ読んでいただければと思います。

あとはテキトーに読み飛ばしてください。

それでは、これで③は失礼いたします。

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