慢性腎臓病と皮下点滴の話
予め書いておきますが
今日はちょっとした怒りのブログです。
本当はもっと辛辣に書きたいけれど
動物病院のブログなのでできるだけオブラートに包みます。
が、やっぱり読む人が読めば不快に感じることもあるでしょう。
なので興味のある方だけ読んでください。
こっちのブログで辛口に書いた分は
きっと裏ブログの方でモッチーが甘く中和してくれると思います。
内容を打ち合わせしたわけじゃないから
本当にそうなるかは分かりませんが、良かったら合わせて読んでみてください。
本日、動物看護師さんとしての就職希望の方が当院に見学にいらっしゃいました。
その方は以前、静岡市の他の動物病院さんでそれなりに勤務されていたそうです。
その方の受け答えの仕方や動物医療の知識についてなんかを判断するためと
他の病院さんでやっている医療なんかにも興味があったので
どんなことをされているのか直接聞いてみました。
避妊手術をするための術前検査をした1歳以下の猫さんがおりました。
血液検査の結果、Cre(クレアチニン)の数値が2.0mg/dlだったそうです。
結果、その子は慢性腎臓病と診断されました。
で、そこからずっと皮下点滴の日々がスタートしたそうです。
そっから4年以上が経過している現在、その猫さんは元気に過ごしているそうです。
話を聞いて僕は言葉を失いました。
えっ?って感じです。
そういう子って結構多かったんですか?ってお聞きしたら
他にも似たような猫さんはたくさんいらっしゃったそうです。
その方のお話を聞いていて
猫さんもそのご家族もすごく可哀想だなと感じましたし
その先生に対しては憤りを感じる他ありませんでした。
ここからは、あくまで僕の推測なので
別に証拠があるわけでもありません。
ただ、現在の統計学的な情報と
慢性腎臓病に対する標準治療というものを根拠に述べたものになります。
不愉快だったら申し訳ありません。
おそらくその猫さんの多くは慢性腎臓病ではありません。
ただ健康な猫さんを慢性腎臓病だと診断して
点滴治療を指示しているだけなんじゃないかなと僕は考えています。
何もしなくても元気なんだから
皮下点滴していてもそりゃあ元気でしょう。
そういう状況がまかり通ってしまうことに憤りを感じるわけでございます。
百歩譲って腎臓病だったと仮定した場合
その子たちは先天性の腎疾患ということになります。
先天性腎疾患の猫さんが
1日に10件も診察件数のない動物病院に集まること自体が物凄く不自然ですし
奇跡的な確率で先天性腎疾患の猫さんが集まっていたとして
基本的に示しうる症状は確かに慢性腎臓病と同様です。
しかし、慢性腎臓病の猫さんで
皮下点滴を定期的に実施しないといけないような猫さんが
4年も生存できることはないと思います。
おそらくその子たちに皮下点滴は必要なかったのだと思います。
つまり何もしなくても同じ状態を維持できた可能性が非常に高いものと考えられます。
『別に飼い主側はその先生を信じて通って
治療に満足しているから別に放っておいてくれない?』
とおっしゃる方もいると思います。
はい。その通りだと思います。
どこの動物病院に通って、どういう治療を希望するか
全てを決定するのはご家族の判断だと思いますので
それらの治療を望んだ上で受けているのなら
別に僕は何も言いません。
でも、週に何回しているのか知りませんが
針を刺されて必要ない水分を皮下に注入される猫さんは可哀想じゃないですか?
その点滴は必要ないんですよ?と言われても
その人たちは治療を続けるのでしょうか。
場合によっては、猫さんにとって有害にもなるものなんですよ?と言われても
希望されるものなんでしょうか。
きっとその先生は、本気で意味があると信じてその治療をやっているんだと思います。
だからおそらくその病院さんの治療方法が変わることはきっとこれからもないと思います。
じゃあ、どうしたらいいんでしょう。
僕は、猫さんと一緒に暮らしているご家族が
自分達で色々なことを調べて
理論武装して、検査や治療の妥当性を評価する必要があるんじゃないかと思います。
そうしないと大事な猫さんの命を守ることができない時もあるのかもしれません。
でも、毎回毎回そんな疑いの目で動物病院の診療を受けるわけにもいかないので
現実的にできることといったら
あれ?これって本当にそうなのかな?と
ふと疑問に思った時に、他の動物病院の先生の話であったり
インターネットなんかで色々と調べてみたり
そういったちょっとした疑問を放置しないことが大事なのかなと思います。
もちろん、当院での診察も例外ではありません。
僕や望月の診察内容に疑問を抱いた場合は、他の先生の意見を聞く方が良いと思います。
ここ数週間、セカンドオピニオンの患者様にたくさん来ていただいております。
心雑音がないのに、雑音があるから薬を一生飲まないといけません、と診断されたわんちゃん。
必要な検査をしていないのに、慢性腎臓病ですと診断された猫さん。
必要のない療法食を処方されたり、必要のない薬剤を処方されている犬さん・猫さん。
皆様、何かしらの疑問を感じて当院にいらしております。
全て今月に入ってからの出来事です。
動物医療においても
セカンドオピニオン・サードオピニオンが一般的になってきているのだと思います。
ちょっとした疑問を放置しないこと、それが大事なんだと思います。
僕がいくら怒っても何も生まれないと思うので
せめてここを読んでくださっている皆様には
大事な犬さん・猫さんのことを考えた上で
必要だと思う行動を取っていただければなと思います。
それでは、今日はこの辺で失礼いたします。