人は論理では動かない
どんだけ論理的に構築された内容であったとしても
どれだけ理屈が通っていたとしても
人は論理だけでは動きません。
説得よりも納得。
納得よりも共感を。
動物医療は
患者様と動物病院、どちらか一方のみで行えるものではありません。
相互に協力し合うことで、きちんとした動物医療というものが成されるものだと思います。
どれだけ考えに考え抜いて薬を処方したとして
その薬をきちんと犬さん・猫さんに飲ませることができなければ効果は期待できません。
飼い主様がどれだけ積極的な治療を希望したところで
動物病院がそれに見合う診断や治療ができなければ、結局は治療は上手くいきません。
患者様に病状を説明する時
何かの質問について答える時などなど
僕たち動物医療関係者が患者様とコミュニケーションを取る場面というのは
毎日のように繰り広げられるわけですが
上記のように
病気についてただ理屈だけを述べていても
患者様には伝わらないことも多いのではないかと思います。
『先生ならどうされますか?』という質問は
治療選択を悩むような場面で、望月も僕もよく受ける質問ですが
他の獣医さん達の話を聞いても
やはりどこの動物病院でも同様の問答は行われているそうです。
質問を受ける先生方によって
どのように答えるかは全然違うと思います。
中には、自分には決められないからご自身で決めてください、とおっしゃる先生もいると思います。
僕自身はどうかと
大体が一緒に悩んでしまうスタイル、です。
だから診察に時間かかる時はものすごい時間がかかるわけなんですが
動物とご家族が一緒にいられる時間を左右するような選択を
そんなに簡単に決められるわけないですもんね。
はい、じゃあ、どっちにしますか?今すぐに決めてください、っていうのは
ちょっと酷なんじゃないかな思うわけですね。
かといって、ずっとご家族に悩ませ続けるのもなんかなあ、と思うわけです。
こっちは一応、これでご飯を食べているプロなわけでして
それならプロとしての経験や個人的な感情みたいなんも織り交ぜて
一緒に悩んでもいいんじゃないかと思うんですね。
結果的に
そういう話し合いが
納得から共感へとご家族の感情を変化させ
二人三脚で動物の治療に当たれるのであれば
それが僕の理想とする動物医療の形ではないかなと考えるわけです。
『かかりつけの動物病院』という表現をされますが
若い頃、健康な頃から動物病院に通っておくことによって得られるメリットというものが
そういうことにも発揮されるんじゃないかと思っておりまして。
普段からご家族の動物に対する考え方や死生観みたいなものの
ほんの片鱗にでも触れておくことによって
有事の際、共に動物の治療についてどうしようか、と悩むような場面で
より考え方を共有しやすくなると思うんですよね。
そうすると、最終的にはどのような選択を取るにしろ
動物達にとってより良い結果へと繋がるのではないかと思うわけです。
そんなわけで、当院はそういう感じの動物病院なので
悩み事やちょっとしたご質問など
いつでもご気軽に聞いていただければと思います。
忙しいところ色々聞いてしまってすみません、とよくおっしゃられますが
僕たちの仕事はご家族のお話を聞くことでもあるわけで
それで忙しくなるのであれば、願ったり叶ったりな状態でスノで
遠慮なく聞いていただければと思います。
その代わり、他の方がご質問しているであろう結果
待ち時間が少し長くなったとしても
御心を広く持っていただけると嬉しく思います。わがまま言ってすみません。
それでは、今日はこの辺で失礼いたします。