動物病院の選び方〜身体検査の大切さ〜
現役の獣医師の先生が書いているnoteにこんなのがありました↓
『いい獣医さんの特徴を獣医師目線で解説』というタイトルの記事です。
動物病院を選ぶ際に何を基準にすればいいの?という質問に対して
獣医師さんの目線から書いてみました、というものです。
もしご興味のある方は、読んでみてください。
読んだ結果、当院から患者様方が離れてしまうとそれはそれで悲しいのですが
でも、より良い動物病院を受診する方が、犬さん・猫さんのためにもなると思いますので
ぜひ参考にしてみてください。
この記事の最初の方にも書かれておりますが
『身体検査をきちんとする』ということは、動物医療における要だと僕は思います。
全ては身体検査で始まり身体検査で終わると言ってもいいんじゃないか、ぐらい大事な検査項目です。
具体的には、聴診・視診・触診・体温測定などを五感を頼りに行うわけです。
この子に異常があるのか?異常があるのであればどこの部位がどのように悪い可能性があるのか?なんかを検討していきます。
身体検査の何が素晴らしいかと言えば
聴診器と両手だけで、かなりの情報量が得られることですね。
なので、僕はその子が嫌がらないのであれば
可能な限り、身体をベタベタ触りまくるわけです。
一見、何をしているんだろう?みたいな感じの診察風景でありますが
動物の身体を触ることが獣医療の場合、めちゃくちゃ大事なことではありますので
基本的にはしっかり触らせていただいております。すみません。
時には、お腹を触るだけで腸閉塞の原因となっている異物を触知できることもありますし
先日は、ワクチン接種のために来院された子犬さんの先天性心疾患を身体検査で見つけることができました。
本当に大切な検査だと思います。
何でこんなに身体検査の大切さを言ったり
冒頭にリンクを貼らせていただいた先生も身体検査大事ですよー、とおっしゃられているかと言うとですね。
身体検査の質は本当に獣医師間で差が出る部分だからですね。
血液検査やレントゲン検査は、採血をしたりレントゲン撮影をすることで
ある程度の客観性を持ったデータとして検査を行うことができます。
同じ子の血液検査であれば、ちゃんと採血できれば
誰が採血をしても大きく数値が異なることはほとんどないとは思います。
ですが、身体検査はどちらかというと五感を頼りにする部分も大きいので
獣医師の主観的な検査であることが多いです。
もちろん、心拍数とか呼吸数とか数値化できるものはある程度客観性を持たせることができますが
触診時に感じ取ることができるか?聴診時に心雑音を聴き取ることができるか?など
その獣医師の感覚の鋭さに左右される場面も少なくありません。
こういった感覚の鋭さを磨く方法は
僕としては、数をこなすしかないと思っておりましして
きちんと意識をした身体検査を今までの人生で何回やったか?が質を決めるんじゃないかと思っています。
1日に2〜3回しかやらない人と、1日に30回以上真剣に身体検査をやる人と
1年経った時の経験値の差は歴然ですよね。
回数をこなせばいいんなら、そんなに差が出ないんじゃないの?と思われると思うのですが
身体検査を全員にやるかどうかって、たぶん動物病院の方針に大きく左右されると思います。
冒頭の記事の中でも触れられていますが
ワクチン接種だけとか、皮膚の痒みを主訴に来た人とか、目が痛そうで・・・とかの人に
聴診器を当てない病院さんも少なくないと思います。
実際に僕が最初に勤めていた動物病院はそんな感じでした。
『皮膚が・・・』と言われれば皮膚しか診なかったですし
『足が痛くて・・・』と言われれば足しか見ていなかったように思います。
そこらへんを二つ目に勤めていた動物病院で大きく修正されて
身体検査の大切さみたいなのを体に叩き込まれて今の僕があるわけです。
なので、今の僕の診察は基本的にどんな主訴で病院に来ていただいた方でも
まずは聴診から入らせていただくことが多いです。
これは別にどの順番でもいいんですが
自分の中で順番を決めることで見落としを少なくするためにやっている感じです。
なので、時折、『何でこの人、皮膚にできものがあるって言っているのに聴診しているんだろう?』といった感じで
不思議そうな目で僕のことを見てくださる患者様がいらっしゃいますが
理由はそんな感じです。
『主訴は最後に診るようにしなさい』と教わってから、極力そうするようにしています。
最初に気になるところから見てしまうと、どうしても見落としが増えてしまうリスクがあるからだそうです。
少し長くなりましたが
身体検査の大切さ、少しは伝わりましたでしょうか?
冒頭の記事の先生同様
僕も身体検査を念入りにしてくださる動物病院に通うことをお勧めいたします。
というわけで、今日はこのへんで失礼いたします。
それでは!