トリミングやペットホテルをやらない理由
当院は院内でシャンプーやカットなどのトリミング業務や
ペットホテル業務を行っておりません。
人間が病院に行って髪を切ってもらったり
ホテル代わりに入院させてください、というようなことを通常、人間の病院に頼まないのと同様に
動物病院は医療行為を行う施設だという認識のもと運営しているというのも理由の一つでもありますが
他にも理由はあります。
あくまで僕の個人的な意見ではありますが
現在の日本におけるトリミング施設でのシャンプー代やカット代
ペットホテルにおける預かり代などが非常に安いのではないかと感じています。
僕は、自分の子どもを一泊二日ホテルに預けるとして
1日3000円だったら、怖すぎて預ける気にならないと思います。
何もされず部屋に放置されるんだろうなあ、ということが容易に想像できるからです。
それが、動物になった瞬間になぜ価格を妥当だと感じてしまうのか。
そこを不思議に感じるわけですね。
ペットは家族と同然です、っておっしゃられる割に
そこは人間とは別なんだなあと不思議に思います。
トリミングにしても同じでして
人間が美容室に行って髪を切ってもらう値段が基準になっているのかなあ、というような
現在のトリミング市場の値段設定でありますが
人間と違って、じっとしてくれない犬さんをシャンプーした後に
全身すべてを綺麗にカットするという行為に対して、何でそのような値段設定なのか。
刃物を扱うわけですので、怪我をしてしまうリスクはありますし
動いてしまうので、落下の危険性だってあります。
カットの技術だけでなく、安全面も考慮した上で2時間ぐらいかけて行われる行為に
5000円とかは8000円とかしか対価が発生しないのは
普通に考えると不思議な現象であるのです。
じゃあ、動物も人間と同様に考えて
ペットホテル代を一泊二日、食事付き、ドッグランでの運動や散歩付きで15000円とか20000円とかにしたり
トイプードルさんのシャンプー・カットを常に二人体制とかでリスク回避をする代わりに
15000円とか20000円とかにすると面白そうな気もするのですが
それはそれで社会的に受け入れられるのは中々難しいと思うんです。
15000円でカットしてくれるってなったら
めちゃめちゃすごいカットを期待されるでしょうし
その結果、今と同じクオリティだったら悪評にも繋がりかねません。
めちゃめちゃリスク高くないですか?
ペットホテルもトリミングも
動物という命を預かる業務内容だと思うので
その対価が安くていいはずはないのですが
なかなか値段を上げることのできない社会的な事情がそこに加わります。
結局、今の価格帯から逸脱した価格設定は難しいのかなあ、と思いますし
挑戦するのであれば、色々なリスクを覚悟の上でやらないといけません。
当院は皮膚科に力を入れている動物病院ではないので
トリミングやペットホテルに力を入れるのであれば
論文の一つでも読んだり、セミナーの一つでも聞いたりして
新たな検査・治療方法を模索し続ける方が患者様のためになるのかなと思います。
そんなわけで、当院は今後もトリミングやペットホテルはやらないと思います。
何か大幅な変更点などがあれば話は変わるかもしれませんが、今のところその予定はありません。
今日はこのへんで失礼いたします。
それでは!