8月9日火曜日の診察時間です。
こんばんは。大山です。
8月9日 火曜日の診察時間です。
午前中は 9時30分 から 12時 まで
午後は 17時 から 20時 まで(受付は診察終了30分前まで)となります。
よろしくお願いいたします。
現在開催中の学会WJVFの中で
猫さんの全顎抜歯・全臼歯抜歯の講義がありました。
ああやってサクサク抜けていく歯の動画を見ていると
すごく歯を抜きたくなってくるのは不思議なものです。
ですが、どんだけ歯を専門とされている獣医師の先生が処置したとしても
猫さんの歯を全部抜くとなると、時間を要します。
その間は、全身麻酔下にて処置しなければいけないため
当然、麻酔の時間も長くなってしまいます。
以前にも書かせていただきましたが
高齢になって歯の問題に悩まされる犬さん・猫さんは非常に多いです。
犬さん・猫さんの慢性腎臓病のステージ4以上のケース
犬さんの僧帽弁閉鎖不全症や猫さん心筋症のステージCやDのケースなどの子達が
歯を悪くしてご飯を食べられなくなってしまった場合に
全身麻酔下での歯科処置を実施するかは少し悩んでしまいます。
そういった子でも麻酔中に命を落とすようなことはほとんどないと言ってもいいのでしょうが
麻酔後に肺水腫や胸水貯留、腎機能不全の悪化、急性膵炎など
基礎疾患のない子の場合はほぼ起こらないようなことが、起こる可能性も上がってしまいます。
だからといって、歯科処置をやらなくていいのか?と言われれば
今現状、その子の生活の質が落ちているのであれば、やってあげる方が良いかもしれません。
一年と少し前から診させていただいている心筋症の猫さんがいらっしゃいます。
その子を初めて診た時は胸水が大量に貯留し、呼吸困難の状態でありました。
何度も胸水を抜きながら、ご自宅での投薬をご家族には頑張っていただき
今もなお、なんとか元気に暮らしてくれております。
その子がつい先日、歯周病によって食欲がなくなってしまいました。
口が痛くてご飯を食べられない状態です。
この子は心筋症のステージCであり、糖尿病、慢性腎臓病も併発しております。
こういう時は全身麻酔をかけるのかどうか悩んでしまいます。
悩むのではなく、絶対的な自信を持って全身麻酔下での歯科処置を勧めることができないのは
麻酔レベルがそこまで高くないからだと思うので
そこはもっと精進せねばならない点ではあります。
ですが、考えに考え尽くして全力で集中すればたぶん大丈夫だろう、という気持ちがどこかにあります。
そういう気持ちがどこかにあるから悩んでしまうのだと思います。
ただ盲目的に『基礎疾患があってリスクあるから麻酔はかけられないです。』と言ってしまえば
そこで終わりですし、悩む必要なんてないんです。
実際に挑戦しない方が良い症例だっていると思います。
ですが
動物病院に、主治医の先生に、匙を投げられてしまったら
ご家族は途方に暮れるしかありません。
それはちょっとなあ、と思うので
リスクを説明したご理解いただいた上で、ご家族の希望があれば僕はやると思います。
幸いにも、先ほどの猫さんは
その数日後に勝手に歯が抜けまして、痛みも多少緩和され今はご飯が食べれております。
抜けた歯以外の歯がまた痛くなる可能性は十分残されておりますが、現状は経過観察となっております。
話がだいぶ逸れましたが
若いうちからの定期的な歯科処置と、ご自宅でのデンタルケアは
中高齢以上の犬さん・猫さんの健康寿命を大きく変えるものになると思います。
毎年の健康診断も大事ではありますし、随分とされる方も増えてまいりました。
それと同様に
毎年の全身麻酔下でのスケーリングもこれからは主流になってくるかもしれません。
実際に
『年1回の歯科スケーリングは犬の死亡リスクを18.3%低下させる』
というデータも報告されております。
半年ほど前から、当院でも歯科処置の件数がかなり増えております。
犬さん・猫さんの歯科処置について、ご質問などある方は
ぜひ一度当院お立ち寄りご相談ください。
それでは、今日はこのへんで失礼いたします。