8月2日火曜日の診察時間です。認知症の治療・ケアpart3です。静岡市清水区の動物病院、みなとまちアニマルクリニックです。
こんばんは。大山です。
8月2日 火曜日の診察時間です。
午前中は 9時30分 から 12時 まで
午後は 17時 から 20時 まで(受付は診察終了30分前まで)となります。
よろしくお願いいたします。
認知症についてのブログも3回目になりました。
今日は具体的な治療方法について述べていきたいと思います。
その前に
認知症のリスク因子と病態について簡単に。
認知症の一番の危険因子は年齢だとされています。
当然かもしれませんし、やや仕方ない部分もあるかもしれませんが
高齢になればなるほどそのリスクは増してきます。
また、食事内容も大きく影響するとされており
特に、抗酸化成分というものは大事でして
抗酸化成分の多く入った食事を与えられていたワンちゃんの方が
通常のフードを食べていたワンちゃんに比べて
2.8倍も認知症の発症率が低かった、というデータがあります。
認知症が起こるメカニズムとして
基本的には脳が酸化ストレスによってダメージを受けてしまうという説が有力ですので
これに対する抗酸化成分の経口摂取は有効とされています。
では、ここからやや具体的な内容に入っていこうかと思います。
まずは、治療の開始時期について。
前提として、症状が重く夜鳴きがどうしようもない状態になってからでは
できることに限界があり、サプリメントや睡眠導入剤の効果も少ないことが多いです。
可能であれば、昨日のブログの記事にも取り上げた
認知症に関する質問票みたいなものを
場合なら 7・8歳を超えたあたりから実施することで
認知症予備軍を見つけ、早期の治療介入で進行を遅らせることが大事になってきます。
じゃあ、一番最初の治療は何をするのか?
これは人間の認知症治療においても同じになりますが
基本的に一番最初は、栄養学的介入と環境エンリッチメントが重要とされています。
環境エンリッチメントとは
動物の福祉と健康のために飼育環境に変化を与える
飼育動物に刺激や選択の余地を与え、動物に適切な心的活動を発現させる刺激を与える
活動性と行動の多様性を引き出す環境変化を考える
などのことを指します。
環境エンリッチメントについて、もっと簡単に表現するのであれば
犬さん・猫さんに優しい環境にする。
ストレスのない環境と、心身ともに刺激を与えること。
です。
具体的には
トイレは行きやすく
足元の滑り止め
家具の大移動は避ける
視力の弱くなっている子のためには、障害物のない通路の確保
叱らないこと
適度な運動・トレーニング
頻繁にトイレに連れて行く
などが挙げられます。
人間の認知症予防と同様に
脳トレなんかも有効とされています。
普段から、おやつなどのご褒美を探し出す遊びなんかは
脳を使うトレーニングになりますし、筋肉を動かす運動にもなります。
よければ『知育トイ』で検索してみてください。
色々なグッズが出てくると思います。
栄養学的介入については
EPA/DHAや抗酸化物質の含有食が
高齢犬の認知症症状の改善に好影響を与えると言われています。
具体的な商品名を書いていいのかはわかりませんが
Hill’sさんのサイエンスダイエットPROアクティブシニアは
遺伝子栄養学を元に栄養素が配合されており、抗酸化成分も含まれています。
何より猫ちゃん用もあります。
あとは、ピュリナさんのニューロケアという食事は
中鎖脂肪酸やDHA/EPAを含んだフードとされております。
ただ、中年齢以上の犬さん・猫さんに関しては
他の疾患の影響により食事をなかなか変更することが難しい場合も少なくありません。
そういった時に使用できるものとしてはサプリメントが挙げられると思います。
体に負担がかかるものでもないですし
投与自体が可能なのであれば、認知症の進行遅延に一役買ってくれると思われます。
環境エンリッチメントや栄養学的介入の次の段階は
睡眠導入剤や抗不安作用のある薬剤など
いわゆる薬物療法となるわけですが
ここから先は直接病院にて相談していただければと思います。
一応、西洋医学的な薬物療法に抵抗がある方もいらっしゃるかと思いますので
漢方薬も使用させていただくこともあります。
不安行動、夜鳴き、徘徊など認知症に代表的な症状にお悩みの方はぜひ相談にいらっしゃってください。
まだまだ書き足らないことも多いのですが
そろそろ飽きてきた方もいらっしゃるかもしれないので
認知症シリーズはとりあえず一旦はおしまいにします。
また、何か書いてほしいことなどあればリクエストをお願いいたします。
それでは、今日はこのへんで失礼いたします。
認知症についてPart3まで読ませて頂きました。なるほどと思う事や勉強になる事がありました! 夜鳴き=認知症ではない
環境エンリッチメント、家でできることと西洋医学、東洋医学、食事やサプリメントその子に合う医療を組み合わせていきたいですね( ˊᵕˋ*) 抗酸化物質は犬、猫さんの関節、皮膚、肝機能、目、炎症などにもいいと聞いた事があります。
知育トイは若い子が使うイメージでしたが
シニアさんに使うのは、なるほど!!って思いました。パピーの子に購入した知育トイをシニアも一緒に使いたいと思います笑笑(๑˃́ꇴ˂̀๑)
>ヒルク様
本日の検査もありがとうございました&いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
わんちゃん・ねこちゃんの高齢化が進む昨今、それらにできるだけ対応できるようにしたいと考えています。
最後の最後までご家族にとってもわんちゃんにとっても快適な生活ができるよう
病院としても全力でサポートしていければと思います。