6月26日日曜日の診察時間です。緩和的治療について考えてみます。静岡市清水区の動物病院、みなとまちアニマルクリニックです。
こんばんは。大山です。
6月26日 日曜日の診察時間です。
午前中は 9時30分 から 12時 まで
午後は 14時 から 18時 まで(受付は診察終了30分前まで)となります。
よろしくお願いいたします。
緩和治療・緩和ケアという言葉はそもそもは
人医療におけるがん治療の分野における言葉です。
悪性腫瘍そのものに対する治療ではなく
苦痛を和らげることに焦点を当てた治療になります。
そこからやや範囲は拡大して
基礎疾患に対する治療(即ち病気の進行を抑えたり根治を目指す治療)とは違い
患者様の痛みなどを和らげることに焦点を当てる治療を
緩和的な治療と表現したりすると思います。
昨日の予後のお話ではないですが
ここでも動物医療特有の問題が浮上します。
すごく簡単に表現すると
『治療するのをかわいそうと捉えるか、治療しないのをかわいそうと捉えるか』問題です。
これは本当に人それぞれの考え方でありまして
きちんとした答えはおそらくありません。
慢性腎臓病に対して治療をしていくのであれば
定期的な血液検査・尿検査・血圧測定など、きちんとしたモニタリングが必要となります。
そんなに何回も検査をしたり動物病院に通うのはかわいそう、とお考えになるのであれば
盲目的に皮下点滴などをするしか選択肢はないのかもしれません。
たとえがわかりにくいかと思いますので
もう少し深掘りしていきます。
14歳の猫さんで2週間以上前から食欲が低下しており痩せてきている子が来院したとします。
この子が血液検査の結果、腎臓の数値が高く慢性腎臓病の進行によって
今の状態になっている可能性が高いと判断した時
次にどうするか?
積極的に病気に対する治療を望むのであれば
院内血液検査だけでなく
FGF23の測定・レントゲン検査・超音波検査・尿検査・血圧測定などを実施し
場合によっては、数日間の初期の集中的な入院治療などを実施し
状態を持ち直し、かつ腎臓病に対する治療を行うことになります。
逆にこれ以上の検査は望まず
緩和的な治療だけを希望された場合は
皮下点滴や消化器症状に対する治療、食欲増進剤などの使用を検討することになるかと思います。
ここで勘違いしていただきたくないこととして
緩和的な治療は基礎疾患に対する治療と並行して実施することが可能であるということです。
絶対どっちかを選択しないといけないわけではなく
緩和的治療のみでいく or 積極的な治療と緩和的な治療を組み合わせていく
のどちらかになると思います。
この時、積極的な治療を実施する方が
動物達の生存期間は延長する場合が多いです。
が、一方でこまめな通院や治療に対しての費用がどうしても高くなる傾向にあります。
ここでさっきの問題です。
徹底的に治療するのが動物にとってかわいそうなのか?
あまり積極的な検査や治療は実施しないことがかわいそうなのか?
これは、そのご家庭での考え方によるところが大きいように思います。
以前のブログにも似たようなことが書いたことがありますが
大事なのは、普段からそういったことをご家族で話し合っておくことかと思います。
ご家族とできるだけ長く一緒にいれるよう1日でも長く生きていてほしい
そのためにはできる限りのことはやってあげたいという方もいらっしゃると思います。
全身麻酔をかけたり、針を刺しての検査までは望まないから
その手前までのことはしてあげたいという考え方だってあります。
薬は一切使用したくない、という考え方の方もいらっしゃいますし
医療行為全般受けさせる気はないし、基本的には自然に任せてあげたい、それが寿命という
考え方だってあります。
僕はとことんできる限りの医療を施してあげたい派の獣医師ですし
望月はどちらかというと自然派の獣医師です。
だからといって自分たちの考え方を押し付けようとは思いません。
基本的にご家族の意向に沿った形になるように相談させていただきます。
ですが、そういったある意味究極の選択みたいなものは
実際その時になるとあまり時間的な猶予はありません。
その場で決定しないと手遅れになってしまう場合だって少なくありません。
だからこそ、その日が来る前に
いざという時にご自宅の犬さん・猫さんにどこまでしてあげたいか?ということを
あらかじめご家族で相談しておいていただくことは、非常に大事なことだと僕は思います。
ご家族の意思をはっきりと表明していただくと
僕たちはそれに向かって全力を出すことが可能になります。
ご家族の間で意見の相違があったり、迷いがあったりすると
どうしても病院側も迷いが生じやすくなってしまいます。
結果的に動物達のためにならない方向に進んでしまうことだってあります。
どういう道を選択したとしても
そこでどっちつかずな感じになることが、その子にとって一番かわいそうなのかもしれません。
そうならないためにも
もしよろしければ、これを機会に一度考えてみてはいかがでしょうか?
ご家庭のわんちゃんやねこちゃんが元気で健康な時に考えてみるのも
冷静な判断ができる一つのチャンスだと思います。
そういった内容のご相談を病院にしていただいても構いません。
よろしければ病院まで直接お越しください。
それでは、今日はこの辺で失礼いたします。