免疫チェックポイント分子阻害薬のお話
山口大学の水野先生の講演を聴いておりました。
オプジーボで有名になったので
ご存知の方も多いでしょうか。
免疫チェックポイントってなんぞや?ってなるかもしれませんので
めちゃくちゃ簡単に説明しておきますと
がん細胞と免疫系との間に免疫チェックポイント分子というものは登場します。
通常、がん細胞が出現し、がん抗原が放出されると
それが樹状細胞により抗原提示され
T細胞が活性化し、腫瘍へとT細胞が浸潤します。
その後、細胞傷害性T細胞というT細胞ががん細胞をやっつけようとするという一連の流れが
がん細胞と免疫細胞の流れになります。
ここに登場した
樹状細胞とT細胞との関係の中に
CTLA-4というものが出現し
がん細胞と細胞障害性T細胞との関係の中に
PD-1やPD-L1というものが出現するわけですが
それらが、がん細胞をやっつけようとするシステムを止めようとするわけですね。
なので、この止めようとするシステムに対する抗体薬を用いることで
『がん細胞をやっつけようとするシステムを止めようとするものを阻害する』ので
結果的に、がん細胞をやっつけようという流れになるわけです。
なんだか、反対の反対は賛成、みたいな流れになりますが
めちゃくちゃ簡単に説明すると
免疫チェックポイント分子阻害薬はそんなイメージの抗体薬です。
免疫チェックポイント分子阻害薬としては
抗CTLA-4抗体薬、抗PD-1抗体薬、抗PD-L1抗体薬の三種類がありまして
人医療ではそれぞれ二、三種類ずつあるので
全部で8つかな?
それぞれの薬が複数種類の癌に対して効果を認める薬として販売されています。
ただ、PD-1やPD-L1抗体療法による奏効率は
必ずしも高いわけではなく
2017年の報告では、最も効果のある皮膚扁平上皮癌に対して50%ちょっとの奏効率となっています。
また、免疫療法という言葉自体が一人歩きしているせいか
なぜか『免疫療法=安全な治療』みたいなイメージにはなってしまっていますが
決してそんなことはなく
自己免疫疾患様の有害事象がそれなりに認めることが報告されています。
ただ、人間に対するお薬はたくさん販売されているものの
動物用の悪性腫瘍に対する抗体薬の国内での販売はまだなく
北海道大学と山口大学が世界に先駆けて犬さんでの臨床研究を進めてくれているそうです。
そんな中でアメリカでは
gilvetmab(ギルメトマブ)という薬剤が
肥満細胞種とメラノーマを対象として条件付き承認を得ているそうで。
肥満細胞種に対して、完全寛解が8%、部分寛解が38%
メラノーマに対しては8%と12%となっており
一見、奏効率は高く見えないかもしれませんが
外科や化学療法などの他の治療でなす術ないという状態で
このくらいの奏効率を出してくれるのなら、有用な薬ではないかと思います。
今後、国内でも販売される未来が出てくるかもしれませんね。
国内では山口大学が
猫さんの免疫チェックポイント分子阻害薬についても
昨年の8月から臨床試験を猫さんの肉眼病変のある悪性腫瘍に対して実施されており
今後の研究成果が期待されるところです。
電気化学療法もそうですが
今まで、治療が難しいとされていた悪性腫瘍に対して
新たな治療方法が次々と登場してくるのは嬉しいお話ですね。
腎臓病のAIMのお話もそうですが
治療が難しいとされていた病気に対する新たな薬・治療のお話は
どれもワクワクさせてくれるものが多いですね。
少しでも犬猫さんの明るい未来のためになってくれると良いなと思っています。
それでは、今日はこのへんで。