コンベニア注という注射薬
当院のホームページが新しくなって数ヶ月経ちますが
毎月、作成してくださった会社様が
月間レポートとして
アクセス解析の結果を送ってくださっています。

上記が先月のページ別の閲覧された数です。
ホームページなので、トップページやブログの紹介ページの数が多くなるのですが
その中でもブログの一つの記事である
『薬の有害事象』と『2週間効く抗生物質の注射』
が毎月アクセス数が多くなっています。
薬の副作用とかが気になるのはなんとなくわかる気がするのですが
2週間効く抗生物質の注射というワードが人気の記事になってしまうことは
きっと、日本全国色んな動物病院で
この注射薬による治療が行われていて
その注射について調べようと思った方が検索してくださっているというわけなので
日本の動物医療におけるこの現状・・・
正直どうなのかなという感じですよね。
この2週間効果のある抗生物質の注射というのは
動物医療で用いられているのは一つの種類しかなくてですね。
セフォベシンというセフェム系の抗菌薬になります。
元々の先発品がコンベニア注という商品名で
去年、それのジェネリックでセフォベクリア注という商品が発売されました。
ジェネリックが発売されるということはそれなりに需要があるということなんかな。
実際、去年、業者の方から聞いた話では
日本で一番売れている動物用医薬品がコンベニア注だったらしいので
おそらく日本の動物病院におけるこの注射薬の使用頻度は高いのだと思います。
別に、絶対に使うなとは僕も言わないですし
投薬が不可能な野良猫さんとかが
噛まれて皮膚が化膿し、明らかに細菌感染症とかになれば使っても良いとは考えています。
でも、そういう場面っていうのはそんなに多いのかなというのが正直なところ。
コンベニア注やセフォベクリア注を使用するべきでないであろう場面で
よく使われているのを見かける例としては
猫さんの膀胱炎症状の子や歯周病の子が多いように思います。
膀胱炎症状だったら尿検査をして細菌感染を確認してから
適切な抗菌薬の処方を考えるべきだと思いますし
歯周病なら第一選択は全身麻酔下での歯科治療になるかと思います。
まあ、色々と理由はあってのコンベニア注射なのだとは思いますが
あまり適切な使用とは思えません。
セフェム系抗菌薬が腎臓への悪影響をもたらすという話も先日のセミナーで出ていたので
そういった長期間型の抗菌薬の乱用が
もしかしたら猫さんの慢性腎臓病の発症因子の一つになってやしないかと
疑ってしまうぐらい乱用されている現実があります。
でも、多数派の意見を変えるのって難しいんですよね。
都知事選の結果を皆様がどう受け取ったかわかりませんが
僕は石丸さんが小池さんに結構な差をつけられて負けてしまう現実を見ても
そう感じざるを得ませんでした。
世の中を変えるのってやっぱ厳しいんだと思いました。
動物病院での抗菌薬の使用方法と選挙の話と結びつけるのは
やや飛躍し過ぎなのかもしれませんが
少数派が勝てないという意味では同じなのかなと思います。
現時点で抗菌薬濫用派の動物病院が多数派だと思いますし
いくら厚生労働省だったり農林水産省だったりが
抗菌薬の適正使用や耐性菌の問題について叫ぼうが
あんまり変わらないなっていうのは実感としてあります。
この情勢の変化を求めるのであれば
結局は時間が経つのを待つしかないのだと思います。
でも、うちのブログの検索数が多いということは
動物医療を受ける側の意識は少しずつ変わってきているのかもしれませんね。
動物病院側が変化する気配がない以上
医療の受け手側の意識が変わる他ないのかもしれません。
今日も初めての方からわんちゃんの健康診断のご相談がありましたが
患者様側の意識は変わっているように感じます。
偉そうなことを言っていますが
僕自身も獣医師として別に大したことのない存在なので
大したことのある存在になれるよう、もっと精進したいと思います。
長くなっちゃいましたが、今日はこれくらいで失礼致します。
最近いつも興味深く拝見させて頂いております。コンベニア注乱用は実際にFIV持ち+腎不全ステージ2だった前猫で十二分に体験しました。当時の私は猫の病気に関する知識に乏しく保護から数ヶ月以降、食欲不振に悩まされて他の病院でステロイド錠剤を処方されるも投薬に苦慮した後に冒頭の病院で初診を受けました。血液検査の結果、
その先生の見立ては食欲不振の原因は歯周病による口内炎であり、原発はFIVか腎機能低下に起因するがどちらかは分からないので症状を抑える為、例のコンベニア注とデポメドロール注を投与されました。その後、食欲は回復すると予後1週間前後で徐々に食欲不振が再発し、その度に通院して同じ処方を受けることが常態化していきました。しかし回を重ねるごとに薬効は下がり、口内炎が完治しないことに悩んだ末、当時の私はFIVこそが元凶だというバイアスがあったので全抜歯すれば歯周病は無くなり、口内炎も解消し食欲も回復することに望みを託して手術してもらいました。術後、口内炎は解消し、安堵したのも束の間、食欲不振に陥りました。その先生は当時無知な私に腎不全というものの怖さを全く教えてくれず、皮下点滴を強く推奨するわけでも無く、ただ以前と同様の処置を続けた後、その10ヶ月後、亡くなりました。亡くなる2か月前、その病院に不信感を抱いた私は別の病院で診察してもらいましたら余命2か月を宣告されて動揺したせいで更に迷走してしまい、あろうことか再度、件の病院で診察を受けました。その際。最も怒りと哀しみを覚えたのはその先生の態度でした。吐き捨てるように「これは腎不全ですね!」せせら笑いながら話したことは今でも忘れません。挙げ句の果てに自宅点滴を強く推奨する始末。点滴は単価が安く病院にとって時間ばかり掛かって殆ど儲からないのは素人なりに分かります。なので点滴+α的な処置をして売上を捻り出そうとするのも分かります。ただ腎不全の子に延々1年以上もの間、口内炎に効くと言われソレンシア注とコンベニア注を投与され続けた結果、まさに先生が懸念されている通り、私の前猫は腎臓をぶっ壊されてしまいました。
あの日以来、私は病院へ頼り切るのではなく、飼主自身もしっかり知識を持ち、情報収集することの大切さを学びました。このブログにもっと早く出会っていればと後悔しております。現在、私の元には1か月前から野外で保護した腎不全2の子が居ます。このブログの記事を参考にしながら少しでも今の子のQOL向上に努めます。