有事の際にどうするか
メールでご相談いただいている方のお話を伺っていて
大切なことだよなあ、と感心させられることがあったので
ここでも書かせていただこうかと思います。
その方は、今、慢性腎臓病の犬さんと一緒に生活されています。
食事に関することであったり治療薬に関することであったり
すごく熱心に色々調べていらっしゃって
素直にすごいなあ、って感じることが多いのですが
今日の話はそことは少し違います。
今現在、慢性腎臓病は抱えているものの
その子はそれなりに元気に日々を過ごしてくれておりまして
食事もしっかりと取れている状態です。
そんな中で、この先、食事や水分が取れなくなってきたタイミングで
どのような治療選択をしていくか、ということを
すでにご家族の中で話し合われているそうです。
単純なことなのかもしれません。
でも、この先どうしていこう?というのを
今のうちに話し合っておく、ということはすごく大事なことだよなあ、って僕としては思います。
以前にもこのブログで書いたこともあるとは思いますが
いざという時に、動物達にどのようなスタンスで動物病院に連れていくか?ということを
あらかじめ家族で話し合っておくことって、めちゃくちゃ大事だったりします。
何でかっていうと、その迷いとか家族間での意見の食い違いによって
初動が遅れたりするからですね。
緊急手術が必要です、っていう状況って
意外にも突然当たり前のような顔してやってくるもんでして
手術すれば助かる可能性がありますが、手術しないと厳しいと思います。
やるなら今日このままお預かりして状態安定化して手術をするのが良いと思います、どうしますか?
という選択を急に迫られたりするわけで。
いや、そんなこと急に聞かれても・・・ってなる人も多いかと思いますし
今日のところは即決できないんで、一日考えさせてください、ってなってしまうと
助けられる確率が下がってしまうこともあります。
なので、やっぱり普段から
こういう時どうするか?みたいなのを簡単にでも話し合っておく方が良いのかなあと思うわけです。
別に、積極的に治療をする・手術をするという選択だけが正しいわけでもないと思います。
ここまではやるけど、ここからはやらない、っていう線引きみたいなのを
ある程度の家族の方針みたいなのを
あらかじめ決めておくっていうのは大事なことだなって思うんですね。
人間、あらかじめ心に決めているものがあれば
あんまり迷わないですし、迷わない人間は往々にして強さを発揮するもんです。
できる限りのことは何でもやってくださいと
患者様に即決してもらった時の方が
医療に従事する側の人間の力も最大限発揮できたりするもんなんじゃないかな、と。
もちろん、あらかじめ決めていたことに必ず従う必要なんてないと思いますし
実際にその時になってみたら、気持ちが変わるなんていうことは多いと思います。
大事なのは、そういうことを普段から話し合っておくこと。
家族一人一人の意見をみんながある程度知っておくこと、だったりするのかなと。
でも、元気な時に、病気になった時の話なんてしたくないよーっていうご意見も
ごもっともだと思いますし
色々な考え方があるかとは思います。
ただ、僕個人的には、治療をするにしろ、しないにしろ
ある程度の方針が既に決まっているご家庭の方が
後悔されることが少ないような気がしています。
こんな時どうしようか?っていうお話を色々と考えてみるのはありだと思います。
動物の健康保険に入っとくかどうかとかの話し合いでも良いと思いますしね。
それでは、今日はこの辺で失礼いたします。
大山先生ありがとうございます。
私の後悔は小さな時に避妊手術をしてあげられなかった事です。生まれてからずっと病気知らずで元気な子だった事もあり、避妊治療を受けもしもの事があったら…そのうち考えよう…と、判断を先延ばしにしました。
気がつけばシニアになり、もう手術は無理だ…みたいな感じでした。本当に反省しています。
『緊急手術が必要です、っていう状況って
意外にも突然当たり前のような顔してやってくるもんでして』
そうなんです、ホントにそうでした!!
食欲が無くなり急にグッタリ!かかりつけ医がお休みで違う病院にかけこみました。検査の結果、子宮蓄膿症と診断されました。
今ならそこですぐに救急手術を受けるべきだった!と思うのですが、急な出来事、家族で話し合い数日悩んでしまいました。
幸い16歳での手術を乗り越えてくれましたが、腎臓数値は悪化してしまいました…
腎臓病を色々調べているうちに、大山先生のブログに辿り着きました。
今年、17歳を迎える事ができました。
お散歩も毎日、食欲も戻り、規則正しい生活を送れています。
昨年の経験から有事の際にはこうしていきたいね…と家族で話しています。
また、愛犬は大型ペットショップからの迎え入れでしたので、ペット保険はセット加入でしたが、ほぼ保険を使う事もなく元気でしたので、10歳すぎた頃に解約してしまいました。これも後悔の一つです。
一日でも長く愛犬にとってベストなQOLを維持できればと思っています。
>とっこ様
コメントありがとうございます!
最近よく思うことですが、どういう選択をとっても多かれ少なかれ人間は自分の選択を後悔するのかもしれないです。
避妊手術も全身麻酔下での手術となりますし、リスクがゼロというわけではありません。
もしかしたら、そこで何かが起きていたら今のぴこさんとの生活はなかったかもしれません。
それだったら、結果的に避妊手術をしなかった方が良かった、となっていたかもしれません。
でも、実際に選択した後を経験してみないとわからないんですよね。全部結果論なんです。
僕自身も後悔することは少なくないですし
実際に診察させていただく中で、患者様が後悔されている場面に出会うことは多いです。
そんな中であらかじめご家族で話し合っておくことが、そこでの後悔を少しでも減らしてくれる助けになってくれるのかなと感じています。
何か話の方向性がずれていってしまい申し訳ありません。
ひとまず、ぴこさんがお元気そうにしてくださる今があって何よりです。
いつもありがとうございます。