コトを売る動物病院
モノ売りからコト売りへと時代は変化してきています。
ありとあらゆるものが溢れ
数年前からはモノ自体にはあまり価値のない時代になってきています。
動物病院も例外じゃないのかもしれません。
ただフィラリアの検査をしてくれる動物病院。
ただただワクチン接種だけをする動物病院。
数日前にもアメブロに望月が書いておりましたが
血液検査をするだけなら誰だってできます。
犬さん・猫さんの採血なんて両手が使えたら慣れれば誰だってできますし
血液検査を機械で回すだけなら、教えたら小学生だってできると思います。
血液検査の機械を置いていない動物病院なんて
見つける方が大変なぐらいですから、基本的にどこの病院に行ったって
血液検査はできます。
動物病院なんて、たくさんあるわけですから
血液検査ができること、ということには何の価値もない時代になっています。
大事なのは、その血液検査をどう解釈して
その動物とご家族と、今後どのように病気と付き合っていくかでしょう。
数値が高いから薬を出します、的なマニュアル動物病院に未来はありません。
それが成り立つなら獣医なんていらないです。
じゃあ、コトを売る動物病院って具体的にはどんなものでしょう?
『コトを売る』つまりは体験や経験を売るということになります。
ミュージカルとかに例えるなら
客席のチケットが『モノ』に相当し
一緒に舞台を作り上げるスタッフとしての参加券みたいなのが『コト』に当たります。
ミュージカルを観に行くことよりも
一緒に舞台を作り上げる『体験』が商品となっているわけですね。
それを動物病院でやるのはなかなか難しくなるように思います。
医療行為を患者様に参加していただくわけにはいかないので
何か別の方法で動物医療に携わっていただく形を取るしかありません。
一つは、ご自身が一緒に生活されている動物たちの治療に
ご家族も一緒に参加していただく、というスタイルでしょうか。
動物医療に限らず、医療というものは医療人だけで成り立つものではありません。
動物の場合だと、自宅での投薬に始まり
尿量・飲水量・食事量・臨床症状などのモニタリングなどなど
ご家族に一緒に参加していただく場面は少なからず存在します。
動物医療従事者とご家族が一緒になって
検査や治療をプランニングしていくことこそが
動物たちにとってのより良い予後に繋がるんではないかと思います。
この一つ目に関しては
当院としてはすでにそれなりに形になっていることかなと考えておりまして・・・
当院が主導でこういう形に持っていったというよりも
そういう患者様が多く集まったという方が正しい表現かもしれませんが
実際、ご自宅ですごく熱心に動物たちのことを観察されているご家族が多い印象です。
じゃあ他に何かないのかな、とか考えるんですね。
そうすると結構難しいもんで。
うちの子の血液使ってください!的な献血システムとか
夜間の診察費用をみんなで負担することで
夜間に困った動物を助けよう、的なシステムとか
新人獣医師を一緒に育成できる動物病院的なものだったりとか
一緒に動物病院のシステムに関わっていただくことで
結果的に自身のお家のわんちゃん・ねこちゃんはもちろんのこと
他のご家族の動物まで救えるんじゃないか、的な
そういうのができれば
参加型の動物病院、コトを売る動物病院的なものになっていくんじゃないかとか
ただざっくり考えているだけではありますが
人が増えていけば色々と試していきたいですね。
携帯ゲームに課金するぐらいなら
新人獣医師に課金して
そのお金でセミナー行ってもらったり本を買って勉強してもらったり
新人獣医の医療スキルをレベルアップさせることで
結果的に自分たちが受けられる医療のレベルがアップする方が面白くないですかね。
病院からセミナー代だったり勉強代だったりを出してもらっても
あんまり本気で勉強しよう、と気合が入らない人もいるみたいで・・・
かと言って、自腹で色々と勉強してもらうほど新人獣医さんはお金に余裕はないと思います。
それなら
『先生、うちの子のために勉強してきてもらえないですか!?』って
自身が主治医として関わる患者様に直接出資される方が
本人も勉強に身が入るんじゃないかと。
まあ、プレッシャーにもなっちゃいますから、人を選びますが。
獣医さんが増えていけば
患者様ごとに推しメンの獣医さんがいたって良いと思うんです。
そういう人をどんどん強くしていけば
結果的に動物のためにもなると思います。
獣医師育成ゲームみたいなのが体験できます、という
変なコンセプトですが
お互いにwin-winなら良いんではないかなと思います。
いや、微妙か。。
本気でやるんなら、色々と詰めていく必要がありそうですが
なんかそういうのやってみたいですね。
今日はこれくらいで失礼します。
それでは!