処方された薬の中身は何でしょう?
先週、当院に来院されたわんちゃんは
レントゲン検査のみされて心原性肺水腫との診断で
2週間前から薬を処方されておりました。
で、3日前から食欲が全くなく、立つことも困難となったため当院を受診されました。
来院時も呼吸は速かったため
すぐにエコーで確認。
胸水貯留は認めるものの、心原性肺水腫は否定的でした。
胸水からは多量の腫瘍細胞が検出されたため
癌性胸水と癌性胸膜炎によって呼吸が速くなっているな状態でした。
かつ、利尿剤によって身体はカラカラの重度の脱水になっておりました。
結果、その子はその当日に亡くなってしまいました。
助けられなかったのは僕の力不足だと思います。申し訳ありません。
助けられなかった分際で、お前が言うなよって感じだと思いますが
なんだかなあと思うところもあるので、少し書かせてください。
不快に感じたらすみません。先に謝っておきます。
別に診断内容をどうこう言うつもりとかはなくて
胸水が溜まっていたから胸は真っ白に写ったんでしょうし
それを肺水腫だと思ったんだと思います。
それはそれでその病院さんの診断に対する考え方だと思うので否定はしません。
ただ問題は、ご家族の方に処方している薬は
『利尿剤と心臓の薬です』と言っていたことじゃないかなと思います。
実際の内容を聞いてみたら、フロセミドとプレドニゾロンでした。
フロセミドは利尿剤で間違いはないですが
プレドニゾロンは心臓の薬ではありませんよね。いわゆるステロイド剤です。
ステロイドを心臓の薬ですと言って処方するのはちょっと違うんじゃないかなあとか思うわけです。
でも、そういう状況になると
患者様側としても処方された薬の内容をきちんと把握するという手段に打って出ないといけないのではないかと思うんです。
『いや、薬のことに関して色々聞くと面倒くさがられたりしないですか?』って気にしてしまう方もいらっしゃるとは思います。
ですが、大事なご家族に処方されたお薬の内容ですし
動物たちは自分で飲むか飲まないかの判断はつけられないわけですから
そこはご家族の方がきちんと把握しておくことが必要だと僕は思います。
というより、そこを面倒くさがる獣医師はいないんじゃないかなと思いますし
寧ろ患者様もきちんとお薬について把握しておいてもらう方が
ご家族と病院と一緒に二人三脚で治療に向き合っていく感じがして、僕はそういうの結構好きです。
このブログをやっている理由の一つも
そうやって病院側に色々聞いていただきやすい環境を作るためであったりもするわけですから
患者様と獣医師がコミュニケーションを取りすぎて悪いってことは基本的にないと思うんですね。
それよりも取らなさすぎて、思い違いが生じたりすることで
結果的に治療成績が落ちることだってあると思うんです。
それだったら気になることは何でも聞いてもらって
ちゃんとその子の病気と皆んなで向き合う環境を整えていく方が良いですよね。きっと。
なので、どうしても一つの診察時間が長くなることも少なくないですが
そこは治療のためにコミュニケーションを取ろうとしている結果なんだなと察していただけると嬉しいです。
今日はこのへんで失礼いたします。
それでは。