蟻塚の蟻から学ぶこと
蟻塚には7割の働き蟻と3割の働かないサボり蟻がいるとされています。
この蟻塚から7割の働き蟻だけを残してみると
この働き蟻の中から再びサボり蟻が出てきて
またこの7:3という比率に戻るという現象があります。
この蟻塚の話は昔から知られていましたが、なぜそうなるかは最近までわかりませんでした。
これを解明してくれたのがコンピューター・シミュレーションによる研究で
全ての蟻が働き蟻である蟻塚と、7割働き蟻・3割サボり蟻からなる蟻塚とを比較した場合
生存確率は後者の方が高いという結果になりました。
これは、要するに働き蟻が10割の蟻塚になってしまうと危機対応ができなくなってしまうということらしいんですね。
つまりサボり蟻という概念は外から見た人間がただ単にそういった定義付けをしたに過ぎないわけでして
一見すればサボり蟻に見える蟻も、危急存亡の時に備えた緩衝材みたいな役割をきちんと果たしているんですね。
何でこの話を書いたかと言いますと
この蟻塚においての示唆を組織論に当てはめて考えるのであれば
稼働率100%の組織では、ピンチの時に対応ができないという洞察が得られます。
実際、組織論の世界においてそのような研究がなされておりまして
ハーバード・ビジネススクールのステファン・トムク教授は、知的専門職チームの稼働率と生産性を研究し
平均稼働率が80%から90%に高まると、処理時間は2倍以上になり、さらに稼働率が95%に高まると
処理時間はさらに倍増することを明らかにしています。
動物病院という動物医療を担うチーム・組織も
この知的専門職チームというものの端くれに含まれるのではないかと考えておりまして
何を言いたいかというと
当院のような一次診療を生業としている動物病院においては
いつ何が起こるかわからない状況というのは常なんですね。
そういった組織を運営していくのであれば、やっぱり稼働率はそれほど高くない方がいいのかなあ、という話です。
ご存知の方も多いかもしれませんが
当院も色々あって、今の組織における稼働率はもっちー曰く200%ぐらいらしいので
どうにかしないといけないわけですね。
正直、スタッフ増やすことへのトラウマみたいなものもありますが
いい加減逃げてばかりではダメですし
負けたままみたいな状態でいるのは癪に触ります。
病院をでっかくするのであれば、マンパワーの確保というものは避けられませんし
そろそろ前を向いて歩きましょうか。