犬さんの死因トップ3
今日は久しぶりに内科的な緊急症例の子が入院しています。
昨日の夜に夜間救急の方に行かれて
朝に当院へといらっしゃいました。
朝は呼吸状態が悪く危険な状態でありましたが
今は酸素室の中ですやすやと寝息を立ててくれたり
ご飯を食べてくれたりしています。
なんとか大丈夫そうな感じです。
内科的にコントロールが良好な慢性疾患の子が増えていくと
今日みたいに緊急的に入院しなければいけない子の数は減る印象にあります。
先日の話と同様な感じになるのですが
入院の数が増えれば増えるほど
動物病院としては売り上げも上がるわけなので経営的には良いのかもしれませんが
普段の内科疾患の管理が上手くいっていないことの証みたいにもなるわけです。
逆に内科管理が上手になれば、急変をあまりすることなく犬さん・猫さんたちとそのご家族はは快適に生活できますが
入院しないと動物病院としては売り上げはあんまり上がりません。
何だか矛盾を孕んでおりますね。
どっちが良いか?って言われれば
当然、動物とご家族にとって良い方がいいわけでして
それが医療の目指すべき方向性だとは思います。
ただ、そこを目指して突き進んでいくことが
病院としての運営を圧迫してしまうという矛盾をどうにかしないといけないわけですね。
その矛盾に対する僕の個人的な策としては
緊急的な入院を回避できるような普段からの内科管理を徹底することによって
犬さん・猫さんの生存期間を伸ばしてしまおうという考え方です。
単純により長く快適に生きてくれる期間が増えることによって
病院に来てもらえる回数も増えますし、動物もご家族も安心できる期間が長くなるし
みんなにとって良い形なんではないか、と。
ちなみに、今日のタイトルの犬さんの死因のトップ3は
1位 悪性腫瘍(いわゆるガンですね。)
2位 循環器疾患(心臓病)
3位 腎臓病
みたいです。
1位の悪性腫瘍に関しては、人間の方の死因にもトップに上がることが多いので
高齢化が進む動物においても、やや仕方ないのかもしれませんが
もっと動物医療にもCT検査などが普及していって
どの動物病院でも健康診断でCTや内視鏡をやります、みたいな時代が来れば
もっと減らせるのではないかなとか考えています。
が、まだまだ時間がかかりそうな未来ですよね。
一方、2位と3位に関しては
今よりももっと伸ばすことは可能なんではないかと考えています。
以前よりはかなり増えてきている印象にはある健康診断でありますが
健康なうちから病気の早期発見に繋げるための健康診断を実施するご家庭が増えること
その健康診断できちんと心臓病・腎臓病のリスクを把握しておくことができれば
早期治療介入を実施することによって予後は大幅に伸びるんではないかと思います。
心臓病に関しては
やっぱり一番は心臓のエコー検査ですかね。
あとは、血圧測定、胸部レントゲン検査、補完的に血液検査といった感じでしょうか。
腎臓病に関しては
何と言っても、まずは尿検査ですね。
あとは、血液検査、血圧測定でしょうか。
これらを3ヶ月から半年に一回はチェックしつつ
一年に一回ぐらい画像検査という感じのイメージですかね。
FGF23という検査がリリースされて、ちょうど2年が経ちました。
色々と慢性腎臓病の評価に使えそうな指標という感じです。
こういう風な特殊な血液検査なども含めて
腎臓病に特化した『腎臓ドック』的なものをやっていきたいなあとか考えているんですが
興味ある人いらっしゃいますか?
というよりも、ここを読んでくださっていて
腎臓病にご興味のある方は、おそらくその多くが既に当院で定期的に検査を自主的に受けられている方々でして
あまりここで書いても響く人は少ないのかもしれませんが
それでも、臓器特化型の健康診断がもっと増えても良いかなと思いますし
やるならやるでとことんやります。
ので、費用もそれなりにかかります。
先週、腎臓ドック的な検査を一通りされたわんちゃんの費用はトータルで35000円ほどでした。
普段させていただいている全身の健康診断の内容は
その子の年齢や品種などによって多少内容を変えて提案させていただいておりますが
一番検査項目が多い子よりも、腎臓特化型の方が少し高めになるかと思います。
その代わり、得られるものも多い検査内容だとは考えておりますので
『腎臓ドック』、もしご興味のある方は一度聞いてみてください。
主に、高齢の犬さんと中年齢以上の猫さんが対象ではあります。
それでは今日はこのへんで失礼いたします。