みなとまちアニマルクリニック(清水区動物医療センター)は、心臓病・腎臓病・麻酔に力を入れている動物病院です。

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猫さんの血尿 part2

昨日に引き続き、猫さんの血尿についてということで。

今日は、猫さんの特発性膀胱炎について述べていきたいと思います。

昨日のブログでも書いておりました通り

猫さんの下部尿路疾患の原因の60%ぐらいは、特発性膀胱炎であると言われております。

診断方法としましては

尿検査・超音波検査によって

感染、尿石症、腫瘍などを除外することにより診断されます。

また、根本的な原因は『特発性』という名前の通り解明はされておりませんが

環境要因などのストレスが一つの原因ではないか?と言われております。

ここまでは、以前のブログでもお伝えした内容かもしれません。

今回の講義の中で話されていた内容として

猫さんの特発性膀胱炎は、人の膀胱痛症候群というものに近いのではないか?ということでした。

人の膀胱痛症候群とは

膀胱に関連する慢性の疼痛・圧迫感・不快感があり

尿意亢進や頻尿などの下部尿路症状を伴い

その他の疾患がない状態のことを指します。

『必ずしも炎症があるとは限らない』というのがポイントみたいです。

で、これと関係があるからどうやって治療に結びつけるのか?という話になるわけですが

先ほども申し上げましたとおり

猫さんの特発性膀胱炎の病態の主役は炎症ではありません。

なので、治療の選択肢として

ステロイド、非ステロイド系抗炎症薬、抗菌薬はナンセンスという話になります。

じゃあ、どうするの?ってことになるわけですが

人の膀胱痛症候群のガイドラインに書かれてあることとして

原則的に、『根治的な治療方法はない』とされています。

獣医療よりも進んでいるであろう医療分野でも根治治療は無いということは念頭においていただければと思います。

で、その上で実際はどうしていくのか?

以下の3つが大きな治療の柱となります。

①保存的治療

②薬物療法

③膀胱内注入療法

人間でいう保存的療法とはなんぞや?となると思うのですが

ここでいう保存的治療とは

『緊張の緩和』と『食事管理』を指します。

緊張の緩和はそのままですが

ストレスや疼痛は尿意切迫感を増強するために

緊張を緩和させましょう、ということです。

これは、猫さんでいうところのストレス改善

つまりは環境改善と同じことを指しておりまして

トイレの数を増やす、猫さんの狩猟本能に応じた遊びをしてあげる、などなどの環境改善が

特発性膀胱炎の症状改善に繋がることは報告されております。

食事に関しては

人間の場合、コーヒーや紅茶、チョコレート、アルコール、香辛料、柑橘類などが悪化因子の可能性があるとされており

患者さんの多くが食事療法を実践しているそうです。

これを猫さんに当てはめるのであれば

『尿石用処方食を使用する』であったり

『飲水量を増やす取り組みをする(wet foodや水を混ぜる)』ということと同じかもしれません。

尿石用フードにも、ストレス緩和のためのL-トリプトファンを配合したフードもいくつかありますので

そういったフードに変更してみるのも一つの手ではあります。

次に薬物治療になりますが

人の方のガイドラインで唯一推奨レベルが少し高いのが

アミトリプチリンという薬剤です。

アミトリプチリンは抗うつ剤に分類される薬剤ですが

痛みの電動を抑制したり、膀胱収縮の抑制作用などもあり

膀胱痛症候群に有効ではないか?とされております。

このアミトリプチリンを猫さんの特発性膀胱炎にも試してみた報告が20年ぐらい以上前にいくつかありまして

あまり効果がないんじゃないか?という結論になっておりました。

ですが、よくよく考察してみると

この薬剤を3〜4ヶ月、長期間使用することによって

膀胱炎症状が改善する可能性が本セミナーでは述べられておりました。

ネガティブデータを出していた報告はいずれも1週間のみの使用だったので

有意差が出なかったのではないか?という話でした。

実際に長期間投与した1998年の報告では11/15頭で症状が消失しているんですよね。

もしかしたら、再び脚光を浴びることになるお薬かもしれません。

で、最後の膀胱内注入療法については

人の方では実際に行われているようですが

猫さんの場合、通院下での長期・複数回投与の有効性は不明とされており

現段階での使用はあまり現実的ではないように思われます。

ということで、猫さんの特発性膀胱炎についてまとめますと

猫さんの特発性膀胱炎は、人の膀胱痛症候群に近いですよ。

長期的な管理方法としては

環境改善+食事&飲水管理+疼痛管理。

再発・難治例に関してはアミトリプチリンを検討。

こんな感じですかね。

今日は猫さんの特発性膀胱炎について書いてみました。

猫さんが頻尿・血尿・排尿困難などのおしっこの症状を示す時の

多くはこの特発性膀胱炎に該当します。

個人的には、色々と周りの環境に気を遣う繊細な性格の猫さんがなる印象です。

病院に来る回数が増えるのも悪化因子の一つではないか?とさえ言われるような疾患なので

できるだけ上手く付き合っていきたい病気の一つです。

猫さんを飼われている方(特に多頭飼育の方)の多くが

一度は経験することの多い疾患の一つが、この特発性膀胱炎だと思います。

猫さんが頻繁にトイレに行くようになったりする症状が見られれば

一度、動物病院までご相談ください。

それでは、今日はこのへんで失礼いたします。

  1. いつもお世話になり、ありがとうございます。
    先日、膀胱炎症状の猫がお世話になったので、とても興味深く拝見しました。

    私事ですが、残尿感・膀胱の違和感で泌尿器科を受診した際、あらゆる検査をして頂きましたが、結果は「何ともない」…気のせい…だったことがあります。
    時期的な事やストレスが原因、膀胱炎は再発しやすいから気をつけて!…ということでした。

    犬や猫たちも、「気のせい」ならいいんですが、ストレスは知らず知らずに溜まってますよね…
    我が家は多頭家族ですので、目配りを怠らないようにしなくては!

    ところで、「アミトリプチリン」は、注射薬でしょうか?
    それとも飲用薬でしょうか?
    飲ませる事が困難な子がいるので、ちょっと気になりました。

    お世話にならないようにしたいところですが、またその際にはよろしくお願いいたします。

    • >平井様
      いつもコメントありがとうございます。
      猫さんの膀胱炎症状は頻繁に起こる病態なので、今回書いてみました。

      もしかしたら平井様の症状も膀胱痛症候群のようなものなのかもしれませんね。
      言葉を話せない動物たちだからこそ、人間には感じ取ることのできない環境中のストレスを感じてしまっているみたいです。

      アミトリプチリンは経口薬になります。
      長期的な投薬が必要になると思われるので、投薬困難だと色々と模索しないといけないかもしれません。

      こちらこそ、何かありましたらいつでもご相談ください。

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