5月6日金曜日は休診日となります。高脂血症について書いていきます。静岡市清水区の動物病院、みなとまちアニマルクリニックです。
こんにちは。大山です。
5月6日 金曜日は休診日となります。
よろしくお願いいたします。
たまには学術的なことも書こうかということで
今日のブログは高脂血症について書いてきます。
5月になりフィラリア予防シーズンが本格的にスタートし
フィラリア検査と一緒に全身の血液検査をした際に見つかることも多いと思いますので
ぜひご参考になさってください。
高脂血症とは、血液中の中性脂肪・コレステロールのどちらか、あるいは両方が高い状態のことを指します。
犬さん・猫さんにおいてはコレステロールよりも中性脂肪の以上の方が問題となることが多いです。
高脂血症には大きく分けて原発性と続発性の2つのパターンがあります。
原発性とは遺伝性と呼ぶこともでき、いくつかの品種で好発することがわかっています。
代表的な品種としては、ミニチュアシュナウザーが挙げられます。
シュナウザーさんの30〜60%程度が高脂血症を発症するとされています。
他にもシェルティーさんやビーグルさん、トイプードルさんでも多く発生しています。
猫ちゃんの場合は、バーミーズさんが好発品種として報告されています。
一方、続発性というものは別の病気や薬剤などの影響を受けて高脂血症となった場合を指します。
原因となる疾患には、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、甲状腺機能低下症、糖尿病、慢性腎臓病、肝疾患、肥満、膵炎などです。
薬剤で最も多いものがステロイド薬になります。
高脂血症が生じることによって起こる症状に決まったものはなく
何も症状の出ない無症状であることが多いですが
腹部痛、元気消失、嘔吐、下痢などを起こすことがあると考えられています。
無症状であることが多いので高脂血症自体の症状はあまり問題にはなりません。
問題となるのは高脂血症の合併症です。
高脂血症は
膵炎や肝障害、糖尿病、眼疾患、アテローム性動脈硬化症の原因になると考えられております。
場合によっては命に関わることもありますので
重度の高脂血症を認める場合には、これらの合併症を引き起こすことのないよう
何かしらの対策を講じないといけません。
まずは12時間以上絶食した状態で
再度、高脂血症を確認します。
それでも高脂血症を認めるのであれば
尿検査・レントゲン検査・超音波検査などを実施し
場合によってはホルモン検査も併せて実施することで、合併症がないかどうかを確認していきます。
一般的に中性脂肪が500mg/dl以上の場合、合併症の発生を防ぐために早急に治療を行う必要があるとされています。
高脂血症の治療で最も大事なことは
その原因となっている基礎疾患を治療することです。
そのため、上記のような検査をきちんと実施することで原因があるのかないのかを確認していきます。
検査の結果、原因が見つからない場合や、基礎疾患を治療しても高脂血症に改善がない場合は
原発性高脂血症があるものと診断して治療に入ります。
治療はまず食事を低脂肪食に変更することから始めます。
低脂肪食に変更後3〜4週間後に再検査を行います。
それでも改善がない場合、オメガ脂肪酸などのサプリメントの使用を検討することになります。
食事やサプリメントを使用しても改善が不十分な場合には、脂質降下薬による治療を開始することになります。
春に健康診断をされるわんちゃん・ねこちゃんも多いと思いますが
もしお家の犬さん・猫さんが健康診断時に中性脂肪・コレステロール値が高かった場合は
以上のような内容を参考にしていただければと思います。
というわけで、今日は犬さん・猫さんの高脂血症について簡単に書いてみました。
より細かい内容を聞きたいよ、という方は
ぜひ当院までお越しいただければと思います。
よろしくお願いいたします。