4月22日金曜日は休診日となります。肥満の子の全身麻酔について。静岡市清水区の動物病院、みなとまちアニマルクリニックです。
こんばんは。大山です。
4月22日 金曜日 は休診日となります。
よろしくお願いいたします。
今月のVETERINARY BOARDは『周術期の呼吸管理を極める』です。

この中に、高度肥満動物の麻酔経験というテーマがあったので
今日はそれを取り上げてみようかと。
まずは、原文をそのまま抜粋します↓
『肥満症例では、胸壁への脂肪の蓄積、腹壁・腹腔内への脂肪の蓄積
増体に伴う酸素消費量の増大が見られる。
胸壁への脂肪蓄積では、胸壁の質量負荷を増大
胸壁コンプライアンスを低下させ、胸壁の可動域を制限する。
腹壁・腹腔への脂肪蓄積を腹圧増大をもたらし、横隔膜を前進させ
可動域を制限し、時に直接的にに肺を圧迫する。
胸壁の質量負荷増大、腹圧の増大は呼吸仕事量を増大させ
圧迫性無気肺の形成に関連する。
可動域制限は総肺気量、一回換気量、機能的残気量を減少させる。
・・・』
と続くわけですが
何が書いているかわからない人もいると思いますので
めちゃくちゃ簡単に言い換えますと
肥満の子は、胸やお腹の皮下脂肪が多いため
胸やお腹を圧迫することで
胸自体や肺が膨らみにくくなるということです。
その結果、一回に吸うことのできる酸素の量も減るため
最終的には肺障害や低酸素に繋がるということが書かれてあります。
手術の時は
全身麻酔をかけた上で、仰向けになることも多いため
お腹が胸を圧迫してしまい、さらに胸は膨らみにくくなります。
ここを読んでくださっている方々にはぜひ
肥満の子の全身麻酔って結構な危険を伴うものだということを知っておいていただきたいんです。
痩せている子を麻酔かける時は
こんなに痩せているのに全身麻酔が負担にならないかな?と心配される飼い主様は多いのですが
肥満体型の子の全身麻酔に関して、心配されている患者様は少ないように感じています。
特に、パグさん・フレンチブルドッグさんなどのいわゆる短頭種と呼ばれるワンちゃん達で
いびきやガーガーといった短頭種気道症候群と言われる呼吸器症状がある子が肥満になった時なんかはめちゃくちゃ気を使います。
ほんとに気合を入れて麻酔をかけないと、事故に繋がりかねません。
人間だと糖尿病・高血圧・心筋梗塞なんかのような
生活習慣病みたいな感じで、肥満について取り上げられることが多いですが
人の医療の方でも
肥満患者さんの方が、気管挿管の成功率が低いという報告があります。
肥満は、慢性的な病気だけでなく
急性期にも関わってくる大事なファクターということです。
実際、わんちゃん・ねこちゃんでも
全身麻酔に限らず
採血をする時や血管確保をする時なんかも過度の肥満の子は
そうでない子に比べると成功率が落ちる気もします。
肥満というものはやはり良いことはあまりないように感じます。
何ごともやり過ぎというのは良くないことが多いです。
皆様もお家のわんちゃん・ねこちゃんの体重過多には気をつけましょう。
それでは、今日はこのへんで失礼いたします。
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