2月4日金曜日は通常の診察は休診となります。犬の乳腺腫瘍について。静岡市清水区の動物病院、みなとまちアニマルクリニックです。
こんばんは。大山です。
2月4日金曜日は通常の診察はお休みとなります。
よろしくお願いいたします。
最近、真面目な学術的なブログを書いてなかったので
たまにはそういう内容でも書こうかと思います。
というか、動物病院のブログなんだからそっちをメインにすべきなのかもしれませんね。
先日届いた、小動物腫瘍科専門誌 Veterinary Oncologyの最新刊がこちらです↓
可愛らしいイラストですが
今回のテーマは『犬と猫の乳腺腫瘍』です。
というわけで、今日と明日二日間に渡って
乳腺腫瘍の概要について書いていきたいと思います。
本日は犬さんの乳腺腫瘍についてつらつらと書きなぐります。
わんちゃんの乳腺は通常左右一対、合計で10個あり
乳腺腫瘍では、乳腺領域に少なくとも一つ以上の触知可能なできものが発生します。
一般的には50%が良性、50%が悪性とされており
悪性腫瘍のうち半数が転移するとも言われておりますが
近年、わんちゃんの悪性乳腺腫瘍の割合が増加傾向にあるとされております。
腫瘍の大きさは重要な予後因子の一つとされており
1cm以下の小さい腫瘍は良性腫瘍である可能性が高く
3〜5cm以上の大きな腫瘍は悪性腫瘍である可能性が高い傾向にあります。
腫瘍が大きくなる前の早期発見・早期治療介入が大切になってきます。
また、ご存知の方も多いかもしれませんが
乳腺腫瘍の発生と避妊手術の実施状況に関しては関連性があります。
現に、アメリカでは避妊手術が若齢の頃より行われているため乳腺腫瘍の発生率は低く
その一方、ノルウェーやイタリアやメキシコなどでは未避妊の子が多く、早期の避妊手術を実施しないため
乳腺腫瘍は全腫瘍のうちの50〜70%を占めていると報告されております。
日本国内に関しては、悪性乳腺腫瘍は4番目に多い腫瘍であり6%を占めており
良性乳腺腫瘍は良性腫瘍の中で最も多い19.7%を占めていたと報告されております。
一般的には、乳腺腫瘍の発生にはホルモンの曝露が最も強く関与しているとされており
わんちゃんでは、早期の避妊手術を行うことで
未避妊の子よりも乳腺腫瘍の発生リスクを減少させることが可能であるとの報告があります。
以前の報告では、避妊手術は後年、乳腺腫瘍の発生にほとんど影響を及ぼさないと考えられていましたが
2歳以降であっても乳腺腫瘍の発生リスク増加に関連すると考えられております。
なので、以前まで考えられていた2.5歳以降の避妊手術は乳腺腫瘍発生リスク減少には重要ではない、という考え方は
変わってきているものと思われます。
当院でも、乳腺腫瘍の摘出を実施する時には
同時に避妊手術を実施することを推奨するようにしておりますが
これは、新たな乳腺腫瘍の発生リスクが大幅に低下するとの報告を受けてのものになります。
結論、卵巣ホルモンの曝露期間を減らすという観点から考えると
1歳以下という若齢でなくとも、避妊手術による乳腺腫瘍の発生率低下の効果はあると思われます。
もちろん、若齢で行う時よりも効果は落ちるのかもしれませんが
避妊手術を実施しないよりは効果がありそうに思われます。
避妊手術に関しては
やらなくて良いという人、やらない方が良いという人も一定数いらっしゃるかとは思います。
それはもちろんその方のご意見があるのでしょうし
その意見を捻じ曲げて無理やりにでも避妊手術をやろうとは思いません。
ですが、避妊手術を実施することで、確実に防ぐことのできる疾患があるのだよ、ということを知っていただければなと思います。
その上で、避妊手術をするかしないかはご家族で話し合って決めていただければと思います。
当院としましては、わんちゃんの去勢手術・避妊手術に関しましては基本的に推奨させていただいております。
実際の全身麻酔・手術の流れやご費用の面など、相談したいです、という方は
ぜひ当院に直接来ていただければと思います。
よろしくお願いいたします。
それでは、今日はこのへんで。
当院のご評価や実際のご経験などを書いていただけると嬉しいです↓
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当院のことを知っていただくためにご協力いただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。