1月10日月曜日の診察時間です。甲状腺ホルモン測定について。セカンドオピニオンも随時受け付けております。静岡市清水区の動物病院、みなとまちアニマルクリニックです。
こんばんは。大山です。
1月10日 月曜日の診察時間です。
午前中は 9時30分 から 12時 まで
午後は 14時 から 18時 まで(受付は診察終了30分前まで)となります。
明日は、祝日なので日曜日と同じ診察時間となります。
よろしくお願いいたします。
先日、わんちゃんの健康診断の時に
飼い主様から『甲状腺ホルモンの測定はやらないのですか?』という質問がありました。
僕的な結論から先に述べさせていただくと
甲状腺ホルモン値の測定は、最初の健康診断の段階で測定する検査項目ではないと考えています。
犬さんの場合の甲状腺疾患として代表的なものに
原発性甲状腺機能低下症が挙げられます。
甲状腺から甲状腺ホルモンがきちんと分泌されなくなる疾患ですね。
本疾患はホルモンの病気なので内分泌疾患という括りになりますが
内分泌疾患というものは、以前にも書いたかもしれませんが
基本的には、何か臨床症状を伴って初めて疑うべき疾患です。
例えば、わんちゃんの甲状腺機能低下症であれば
肥満、元気消失、脱毛、脂漏症、食欲低下、便秘、発作、徐脈、低血圧などが挙げられます。
また、一般的な血液検査において
軽度の貧血が認められたり、コレステロール値の高値などが認められるのが一般的です。
これらの異常があって初めて甲状腺ホルモンを測定する、というステップに進むのが通常の流れだと思います。
でも、うちの子はできれば健康診断の時に一緒に数値を確認してください!という方もいるとは思います。
別にそれはそれで良いとは思うのですが
甲状腺ホルモンの数値というものは、原発性甲状腺機能低下症以外でも低下する場合があります。
というよりも、別の疾患が原因で低値を示す場合の方がもしかしたら多いかもしれません。
昔、sick euthyroid syndrome(偽甲状腺機能低下症?)と言われていた病態で
現在は、NTIS(Non thyroidal illness syndrome)と呼ばれるようになっています。
いずれにしろ、甲状腺が原因じゃないのに、甲状腺ホルモンの数値が低下するので
甲状腺機能低下症と誤って診断されることの多い病態です。
なので、僕としては、健康診断の時に甲状腺機能低下症を除外する目的で
甲状腺ホルモンを測っているのだとしたら、それに何か意味があるのかな?と感じます。
猫ちゃんの甲状腺機能亢進症の早期発見のために
健康診断時に甲状腺ホルモンをチェックするのは確かに有用だと思います。
ただ、わんちゃんの甲状腺機能低下症と猫ちゃんの甲状腺機能亢進症をごっちゃにしてはいけないと思います。
そんなに安い検査ではないので
ワンちゃんの場合は本当に必要な時だけ検査をするようにして
きちんと診断する時は一般的な検査項目である甲状腺ホルモン(T4)だけでなく
甲状腺刺激ホルモン(TSH)やfT4といった検査項目も追加すべきだと思います。
甲状腺刺激ホルモン負荷試験という検査方法もあります。
確かに原発性甲状腺機能低下症はそれなりに見かける病気なのかもしれません。
ただ、甲状腺ホルモン(T4)だけを測って
低いから投薬開始しますねー、みたいな単純な場合は少ないように思います。
本当に原発性甲状腺機能低下症なのであれば
一生涯投薬が必要になるわけですし
そこの診断は非常に慎重に行うべきものだと思います。
そんなわけで
当院では犬さんの健康診断項目に
ルーチンで甲状腺ホルモン測定を入れるようなことはしていません。
よっぽどのご希望があれば別ですが、基本は行っておりません。
健康診断というものも、ただやればいいというわけではなく
動物病院によって行われていることは全然違います。
きちんとその子にあった健康診断を実施してくれる動物病院を選ぶ方が良いのだと思います。
それでは、今日はこのへんで。