10月30日土曜日の診察時間です。犬さんの異物・中毒物質の催吐処置について。静岡市清水区の動物病院、みなとまちアニマルクリニックです。
こんばんは。大山です。
10月30日土曜日の診察時間です。
午前中の 9時30分 から 12時 まで(受付は診察終了30分前まで)となります。
午後は休診となります。
現在開催中のJaVECCsでも一つのテーマとなっている催吐処置について今日は書こうかと。
催吐処置、つまりわざと吐かせる処置のことを指すのですが
中毒物質の摂取や中毒物質の誤飲などの症例において
基本的には、摂取から1時間以内というのが、催吐処置の適応になります。
ただ、人体薬のように摂取から吸収までの時間が短いものや
逆に胃内の停滞時間が長いものもあったりするので
実際に適応になるかは、動物病院に直接聞いていただく方がいいかと思います。
で、今回の学会の大きなテーマの一つである
どうやって吐かせるのか?ということについてです。
わんちゃんの催吐処置には長年、トラネキサム酸というものが使用されてきました。
ですが、この薬はもともとは、抗プラスミン薬つまり止血消炎剤として使用される薬なんです。
この薬を高用量で血管内に注射することで、副作用を利用して80%以上の確率で吐いてくれる処置を行うわけです。
ただ、これには一つ問題がありまして
稀に痙攣発作を引き起こす可能性が多数報告されております。
今回の学会の中での一つの夜間病院のデータでもおよそ150症例に1例ぐらい痙攣の報告がありました。
この確率をどう考えるかは人それぞれになるかと思いますし
基本的にはここで起きた痙攣発作は抗痙攣薬を使用することで、止められることが多いとされています。
ただその中でもごく稀に難治性の発作につながる子もいるみたいでして、、、
特に、元々、痙攣発作の既往がある子や食べてしまった中毒物質が痙攣を引き起こすような場合は
注意が必要なようです。
あともう一つアポモルヒネという薬剤もありまして
こちらはドパミン受容体作動薬という薬になりまして
嘔吐の刺激を直接与えるようなイメージの薬になります。
こちらは皮下注射ができるという点が一つのメリットかと思いますし
何より吐く確率もデータ上はトラネキサム酸よりも勝っているように感じます。
痙攣発作のような副作用もないようです。
また、海外では犬用の催吐用の点眼薬としてロピニロールという薬剤が発売されました。
これもアポモルヒネと同様にドパミン受容体作動薬となりますが
きちんとアメリカのFDAの認可を得たれっきとした犬さん用の催吐用の薬です。
もしかしたら、これからは点眼薬で吐かせるという時代が来るのかもしれません。
ほんとは猫ちゃんの催吐処置についても書きたかったのですが
長くなりそうなので、今回はここぐらいにして
猫ちゃんの分はまた明日以降にでも回します。
最後に
先ほども少し触れましたが
催吐処置が適応になるかどうかの判断は獣医師に任せる方が良いかと思います。
中には吐かせてはいけない中毒物質なども存在しますし
吐かせると危険な持病を持っているわんちゃんもいるかと思います。
今回の症例発表にもありましたが
決して自宅で吐かせようとして食塩を大量に飲ませるなどの処置はやめてください。
逆に命を危険に晒すことにもなりかねません。
ご自宅のわんちゃんが何かを食べた際の判断に迷うときは
かかりつけの動物病院に相談することをオススメします。
それでは、今日はこんへんで、失礼いたします。