犬さんの僧帽弁閉鎖不全症のセカンドオピニオン case2
症例情報
11歳 オス キャバリア・キングチ・ャールズ・スパニエル
当院受診前の経過
数年前に僧帽弁閉鎖不全症と診断され、現在も内服薬を服用中。
(強心剤としてピモベンダン、利尿剤としてフロセミドなど)
過去に何回か肺水腫になったことがあり、入院治療経験もあり。
当院初診日は、以前の肺水腫のような状態で
呼吸状態が悪いため緊急的に当院を受診。
当院における診断
身体検査、心臓超音波検査より
僧帽弁閉鎖不全症および三尖弁閉鎖不全症と
左心不全による軽度の肺水腫と診断。
↑当院初診時の心臓の超音波検査画像の一部。
左心房、左心室および右心房の拡張を認める。
当院での治療・処方内容
全身状態がそれほど悪くはなかったため
利尿剤の皮下注射を実施し、現在の内服を大きく変更。
強心剤であるピモベンダンの投与量が過小であると判断し、ピモベンダンを増量。
利尿剤をフロセミドから長時間作用型のトラセミドへ変更。
その後の経過
2日後再診。
初診時、帰宅後より呼吸状態の改善を認め
その後、食欲や活動性も問題なく、尿もよく出ているとのこと。
超音波検査上、肺水腫所見も消失しており、心臓の大きさもやや縮小。
経過が良好として、利尿剤を減量した。
現在、当院初診時より約9ヶ月が経過しているものの
咳症状はあるが、睡眠なども良好に取れており
肺水腫になることは一度もなく良好に維持できている。
結語
犬さんの心原性肺水腫は、肺水腫になってからの予後がおよそ1年と言われています。
ただ、それはあくまでも統計的なデータであり
また、診療をする獣医師の処方内容によっても大きく変わる部分もあります。
実際に心原性肺水腫を過去に経験した犬さんでも
その後2年以上生存し、循環器疾患以外で亡くなる子も少なくありません。
わんちゃんの僧帽弁閉鎖不全症、その他の循環器疾患でお悩みの方は
諦める前に、ぜひ一度ご相談にいらしてください。