犬アトピー性皮膚炎についてのお勉強
来週の2月24日火曜日は福間先生による犬さんの犬アトピー性皮膚炎セミナーです。
正直、皮膚科に関しては僕はあんまり好きじゃないですし
興味はありますが、積極的に取り組みたいと思う分野ではありません。
なので、皆様と一緒に勉強しようというスタンスで臨むつもりです。
それでも、何もしないのもあれなので
せっかくなら復習というか、まとめというか
最近の論文はAIにまとめてもらい、セミナーまでに知識の下積みを作っておこうと思います。
今日はこの論文。

『犬アトピー性皮膚炎における抗サイトカイン薬』という感じの昨年のレビューですね。
アトピーの時に使用する薬剤をまとめてみました、という感じでしょうか。
早速まとめてもらうと、こんな感じ↓
*ロキベトマブが商品名で言うところのサイトポイント。
オクラシチニブがアポキル、イルノシチニブがゼンレリアになります。
1. 病態の要点:cADは「Th2だけ」ではない
本論文が強調する現代的理解はこれです:
- 従来:Th2優位(IL-4/IL-13/IL-31など)
- 現在:急性期はTh2寄りだが、慢性期はTh1/Th22(+Th17)も絡む“動的で多軸”な疾患
- さらに バリア異常・アレルゲン感作・微生物叢(dysbiosis) が組み合わさるというICADA 2023定義も引用されています。
図(p2のFigure 1)は、急性→慢性で優位になる免疫軸が変わるイメージを示しています(Th2が急性で強く、慢性ではTh1/Th22が相対的に上がる)。
2. IL-31は「痒み」を説明する中心軸(ただし万能ではない)
- IL-31は犬の痒みに重要で、感覚神経にも受容体があり、itch–scratch cycleの神経免疫ループを形成する点が整理されています。
- 一方で、血清IL-31値と重症度の相関は一貫しない(=IL-31単独で重症度を説明し切れない)ことも明記されています。
→ 臨床的には「ロキベトマブが効かない=アトピーではない」ではなく、**“痒みのドライバーがIL-31以外(別経路)優位の表現型”**もあり得る、という整理が妥当です。
3. 治療各論:抗サイトカイン薬の比較(実地での使い分けまで)
A) ロキベトマブ(抗IL-31モノクローナル抗体)
- 作用点:血中/間質のIL-31を中和して受容体結合を阻害
- 効果発現:実験モデルで最短8時間で痒み低下
- 半減期:およそ16日、月1回投与設計(FcRnリサイクリング)
- 推奨用量:2 mg/kg SC q4w(臨床試験で用量反応、2 mg/kgが効果強い)
- 評価指標:PVAS(痒みVAS)とCADESI-03
- 安全性:血液/生化学への明確な影響は見られず、AEは概ね軽微(GI症状・一過性元気消失など)。注射部位反応は~5%程度と記載。
- 抗薬物抗体(ADA):2–3%程度で報告、臨床的影響は多くはないが失効の一因になり得る
- 注意点:体重制限(<3kgで使用不可の記載)
専門医としての実戦的まとめ
- 「痒み主体」「免疫抑制を避けたい」「併存疾患が多い」「投薬コンプライアンスが難しい」→ロキベトマブが非常に合理的。
- ただし皮膚の炎症/バリア/感染管理が別途必要。IL-31は“痒みの核”であって、疾患全体を1本で完結させる薬ではありません。
B) オクラシチニブ(JAK阻害薬:主にJAK1)
- 特徴:犬用に開発された小分子JAK阻害薬。主にJAK1経路(IL-31/IL-4/IL-13など)を抑える。ijms-26-10990
- 薬物動態:経口BA ~89%、半減期4–6時間 → 導入BID→維持QDという設計
- 用法用量:0.4–0.6 mg/kg BID(最大14日)→その後QD
- 禁忌/注意:12か月未満、<3kg、免疫抑制状態(例:クッシング)、進行性悪性腫瘍などに注意。感染・腫瘍イベントの報告があるため、併用免疫抑制(ステロイド/シクロスポリン等)はリスク評価が必要。
- ポイント:IL-31“だけ”ではなく複数サイトカインの下流を抑えるので、炎症パターンが複雑/慢性化している症例で利点が出やすい、という臨床的整理が書かれています。
※猫:本論文は「猫には適応外だが」FASS等での試験(mPSL比較など)にも触れており、猫ではPKが違い高用量が必要になり得る(0.6–1.0 mg/kg q12hなど)と要約しています。
C) 新しめJAK阻害薬(ここが“最新”の価値)
この総説のアップデート価値は、2024–2025の新規JAK薬をまとめている点です。
1) イルノシチニブ(ilunocitinib;Zenrelia™)
- FDAが2024に承認(犬≥12か月)と記載。
- JAK1に強く、JAK2/TYK2にも活性→より広いサイトカイン抑制の可能性。
- oclacitinibとのhead-to-headで、長期(28–112日)にPVAS/CADESI-04がより良好という記述。
- AEは嘔吐/下痢/元気消失、外耳炎など感染に注意、ワクチン反応低下や生ワクチン回避などの注意も整理。
2) アティンビシチニブ(atinvicitinib;Numelvi)
- EUで2025承認と記載。
- 「第二世代の選択的JAK1阻害薬」で、JAK2/3/TYK2への作用が相対的に弱い=理論上は造血や広範免疫への影響を抑えたい設計、という説明。
- さらに、コアワクチン抗体応答への影響が少ない可能性(高用量でも)に触れています。
専門医としての要約
- “次世代JAK”は、「効き目の持続」「1日1回」「免疫抑制の幅(=副作用プロファイル)」の最適化競争。
- ただし、ロキベトマブとの直接比較が不足しており、クラス間の優劣は今後の課題、という慎重な姿勢も論文内で示されています。
D) シクロスポリン/タクロリムス(「古いが今も重要」枠)
- シクロスポリン:カルシニューリン阻害→IL-2などサイトカイン転写抑制。約5 mg/kg QDで慢性例に有効、ただし立ち上がりは遅い。GI AEやワクチン(特に生ワクチン)注意、腫瘍例は禁忌。
- タクロリムス外用(0.1%):局所病変(趾間、皮膚褶、耳周囲など)で“全身免疫抑制を避けたい時”の選択肢として整理。
4. 実地の「選び方」アルゴリズム(この論文の臨床的結論)
本論文が実地で使える形にしている主張は、要するにこれです:
- 最速で痒みを止めたい:ロキベトマブ(8–12hで効果を感じることがある) or 経口JAK(1–2日)
- 長期管理の軸:ロキベトマブ(持続&安全性)/ シクロスポリン(長期だがGIや立ち上がりに注意)
- 感染リスク・腫瘍・ワクチン時期:より“狭い”作用のロキベトマブを優先的に検討、JAKは症例選択を慎重に
- そして一貫して 「マルチモーダル(ASIT、感染/寄生虫、バリア、増悪因子排除)と組み合わせよ」 が前提です。
Table 1(p9)は、各薬剤の「標的・投与・長所短所」を一覧にしています(臨床メモとして便利)。
5. 限界と“次の研究”として書かれていること
- **犬種差・個体差(=エンドタイプ)**により反応が違う可能性が高いが、治験は犬種差解析に十分設計されていない。
- 抗薬物抗体(ロキベトマブ)、**吸収/代謝の個体差(JAK)**などでPK/PDのばらつきがあり得る。
- 将来的には免疫プロファイリングで「痒み主体(IL-31優位)」「混合型」「慢性炎症型」などを層別化し、個別化治療へ、という提案です。
皮膚科専門医としての「結論(臨床に落とすと)」
- ロキベトマブは“痒みの軸”を安全に叩く強い武器(ただし炎症・感染・バリアは別管理)
- JAK阻害薬は“痒み+炎症”を広く抑えるが、免疫リスクを見て症例選択
- 2024–2025の新規JAK(ilunocitinib / atinvicitinib)が登場し、選択肢は増えたが、比較試験はまだ穴がある
- 反応性の個体差(エンドタイプ)を前提に、PVAS/CADESIで追って**治療を“設計し直す”**のが現代の流れ
ここからは僕個人の感想になります。
(個人の意見も含みますのでご注意ください。)
ここから得られることとしては
もうちょっとサイトポイントを軸に戦ってもいいのかなあという印象。
ただ、炎症を抑えられないんですよね。
なので、アポキルとかゼンレリアで炎症を抑えつつ
サイトポイント+スキンケアやサプリメント・食事といった栄養療法で維持していく
という流れが良いのだとは思うんです。
いや、それはわかっているんですけど
上記にもあるようにサイトポイント自体が
効果のある子と効果のあまり認められない子の差があると言いますか
そういった意味でやや使いにくさがあったり。
どうしても抗体薬なので費用は高めなお薬ですが
それなのに効果がないとなると、なかなかご家族様にも説明しづらいなあと思ったり。。。
でも、まあ、理論的には試してみた方が言いわけですよね。
アポキルやゼンレリアを使い続けるよりは
サイトポイントだけで管理ができたり
腸活だったりアンチノールだったりを組み合わせることで
たとえ弱くても免疫抑制作用のある薬剤から離脱できるなら
その方が良いと思います。
あと、アポキル、ゼンレリアとは別の新しいJAK阻害薬というものが登場したんですね。
正直、知らなかったです。すみません。
アチンビシチニブ?
商品名がNumelviなのでヌメルビー?って読むんでしょうか。
ヌじゃなくてニュかな?
こちらも第二世代のJAK阻害薬として
アポキルなどで懸念される免疫抑制に関わる作用が
より軽減された薬剤という位置付けなのだと思いますが
新しいアトピー性皮膚炎の治療の選択肢として
今後日本でも承認される形になるのかもしれません。
僕個人としては
薬剤に頼るよりは
ファイナルアンサーみたいな腸活系のサプリメントで
腸内細菌叢を整える形で、薬を減らしていければなあとは思っておりますし
何なら消化器疾患では少しずつ症例発表が増えてきている
糞便移植の治療が皮膚科領域にも応用される時が来るんだろうなあとか思っております。
当院の看護師さんの鈴木家のジム君も
以前はアポキルが手放せないぐらい痒かった時期もありますが
ファイナルアンサーとアンチノールのおかげで
今では薬を飲む機会が激減しているとさっき話しておりました。
サプリメント類は続けることで効果がじわじわ出てくるのだと思います。
継続により効果のない場合は、一回量を増やすのもサプリメントを使用する上でのコツな気がします。
そこらへんも今度のセミナーで聴けたら嬉しいですよね。
それでは、今日はこのへんで。
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