糞便中カルプロテクチン測定の有用性

先週発表されたやつでしょうか。
犬さんの慢性炎症性腸症についてまとめたやつ。
わんちゃんにおいては
IBDという用語がなくなりつつあり
治療反応性による病態の分類であったり
診断アルゴリズム、検査方法などがまとめられています。
2026年になって
食事療法に対する考え方とか
内視鏡検査の立ち位置だったり
診断名の使い方だったりとか
少しずつ変わっているみたいなのですが
これはまた近いうちに雑誌とかでも特集されるとは思うので
今回は置いておきまして。
この中に出てくるバイオマーカーとして
糞便中カルプロテクチンの測定というものが
今後の使用が検討されるものとしての記述があるみたいで
今日の記事ではそこだけに絞って少し書いていきます。
目新しいカルプロテクチン測定に関する論文だと
昨年の猫さんの論文がヒットします↓

慢性腸症の猫さんの治療前後で
糞便中と血清中のカルプロテクチンの濃度を評価してみましたよ、ってやつですね。
まあ、ここからはAIにまとめてもらうんですけれども
結論だけ書いておくと
血清中のは使えそうにないのですが
糞便中のカルプロテクチン濃度測定は
重症度評価とか、治療中のモニタリング指標としては一定有用そうな感じ。
診断には使えないっぽいですけど
薬の効果が出ているかどうかの判定とかには良さそうな気もします。
人間は潰瘍性大腸炎やクローン病の人とかで測定するみたいですね。
あくまでも炎症度合いを把握するために参考程度にする検査だとは思いますが
内視鏡検査と違って非侵襲的に検査ができるのが魅力みたいです。
以下、AIによるまとめです↓
1. この論文は「何を明らかにしたかったのか」
猫の慢性腸症(Chronic Enteropathy; CE)において、
- 便中カルプロテクチン
- 血清カルプロテクチン
が
① 診断マーカーになりうるか
② 治療反応のモニタリングに使えるか
③ CIE(慢性炎症性腸症)とSCGL(低悪性度消化管リンパ腫)を鑑別できるか
を前向きに検討した研究です。
2. 研究デザイン(かなりしっかりしている)
- CE猫:43頭
- CIE:25頭(IRE 19 / FRE 6)
- SCGL:18頭
- 健常猫:36頭
- 全例で内視鏡+生検+IHC(必要に応じPARR)
- 治療前(T0)と治療後90日(T1)で
- 便中カルプロテクチン
- 血清カルプロテクチン
を測定
- 測定系は猫用にバリデーション済みELISA
👉 この時点で「外注検査レベルの研究」ではなく、ガチ臨床研究です。
3. 主結果①:便中カルプロテクチンは「上がる」
CE vs 健常猫
- CE猫で有意に高値
- CE:中央値 ≤161 ng/g(~2827)
- 健常:中央値 ≤161 ng/g(~790)
- p = 0.01
※ただし
👉 CE猫の56%は検出限界以下
=「全例で高いわけではない」
4. 主結果②:CIEとSCGLは区別できない
- 便中カルプロテクチン
- CIE vs SCGL:有意差なし(p=0.67)
- 血清カルプロテクチン
- CIE vs SCGL:有意差なし(p=0.99)
👉
「便中カルプロテクチンでリンパ腫を見分けられる」
→ 完全に否定
これは臨床的にかなり重要です。
5. 主結果③:治療すると便中カルプロテクチンは下がる
- CE猫で
- T0 → T1(90日後)に有意に低下
- p = 0.02
- FCEAI(臨床スコア)も有意に改善
👉
✔️ 治療反応モニタリング用途としては有望
6. 血清カルプロテクチンは「全滅」
- CE vs 健常:差なし
- 治療前後:変化なし
- 臨床スコア(FCEAI)との相関:なし
👉 著者らの結論も明確
「猫のCEでは血清カルプロテクチンは使えない」
7. 病理との相関(ここが面白い)
- 便中カルプロテクチン:
- 胃粘膜線維化と弱い負の相関
- 血清カルプロテクチン:
- 十二指腸絨毛障害
- 乳糜管拡張
- 好酸球・好中球浸潤
と弱~中等度の相関
👉 ただし
**「臨床で使えるレベルの相関ではない」**と著者自身が評価
8. なぜ猫でも便中カルプロテクチンが上がるのか?
- 猫CEは基本 リンパ球主体
- それでもカルプロテクチンが上がる理由として
- リンパ球自身の発現
- 炎症環境による二次的産生を考察
👉
「好中球炎症じゃないから意味がない」
という単純な話ではない、という点は重要。
9. 限界(ちゃんと書いている)
- 症例数が少ない
- 多くが検出限界以下
- 健常猫と年齢マッチしていない
- 食事療法の遵守率が低い猫がいる
→ かなり誠実な論文
10. 臨床的まとめ(超重要)
この論文が示したことを一言で言うと:
猫の慢性腸症において
✔️ 便中カルプロテクチンは
「炎症があるか」「治療に反応しているか」を
非侵襲的に見る補助指標になり得る
✖️ しかし
「CIEかリンパ腫か」を見分ける力はない
✖️ 血清カルプロテクチンは臨床的価値が乏しい
こんな感じでありました。
一応、犬猫さん用の糞便中カルプロテクチンを測定するキットが
イギリスでは発売されているようでありまして↓
国内でこれが使えるのか使えないのかは僕は存じ上げないのですが
もしご存知の方がいらっしゃれば教えていただけると嬉しいです。
犬さんの方も論文が複数見つかりますし
今後日本でも検査できるようになれば
活躍する場面は色々と考えられそうな検査ツールだなと思いました。
それでは、今日はこのへんで。