SOFAスコアと敗血症のわんちゃん
人間の医療においては
臓器障害のスコアリングシステムとして
SOFAスコアというものがありまして
簡単にchatGPTに書いてもらうとこんな感じ↓になります。
① 呼吸(Respiratory)
| 点数 | PaO₂ / FiO₂ |
|---|---|
| 0 | ≥ 400 |
| 1 | < 400 |
| 2 | < 300 |
| 3 | < 200(人工呼吸管理あり) |
| 4 | < 100(人工呼吸管理あり) |
② 循環(Cardiovascular)
| 点数 | 血圧・昇圧剤 |
|---|---|
| 0 | MAP ≥ 70 mmHg |
| 1 | MAP < 70 |
| 2 | ドパミン ≤5 µg/kg/min または ドブタミン使用 |
| 3 | ドパミン >5 または ノルアドレナリン ≤0.1 |
| 4 | ノルアドレナリン >0.1 |
③ 中枢神経(CNS)
| 点数 | GCS |
|---|---|
| 0 | 15 |
| 1 | 13–14 |
| 2 | 10–12 |
| 3 | 6–9 |
| 4 | <6 |
④ 腎機能(Renal)
| 点数 | クレアチニン (mg/dL) または尿量 |
|---|---|
| 0 | <1.2 |
| 1 | 1.2–1.9 |
| 2 | 2.0–3.4 |
| 3 | 3.5–4.9 または 尿量 <500 mL/日 |
| 4 | ≥5.0 または 尿量 <200 mL/日 |
⑤ 肝機能(Liver)
| 点数 | 総ビリルビン (mg/dL) |
|---|---|
| 0 | <1.2 |
| 1 | 1.2–1.9 |
| 2 | 2.0–5.9 |
| 3 | 6.0–11.9 |
| 4 | ≥12.0 |
⑥ 凝固(Coagulation)
| 点数 | 血小板数 (/µL) |
|---|---|
| 0 | ≥150,000 |
| 1 | <150,000 |
| 2 | <100,000 |
| 3 | <50,000 |
| 4 | <20,000 |
呼吸、循環、中枢神経、腎臓、肝臓、凝固という六つの項目について
それぞれ臓器障害の度合いが悪くなると、点数が高くなっていくシステムでして
この点数を時間経過とともに評価していくわけですね。
ちなみに
感染症+SOFAスコアが2点以上で、敗血症と診断することになっています。
これは動物の方にも置き換えて考えることがすごく大事な概念だと思っておりまして
人の医療分野における敗血症は結構大変な病態であるのと同様に
犬猫さんにおける敗血症も人医学分野以上に死亡率の高い病態になっているのではないかと思います。
その救命率を上げるためには
きちんと病態を認識することが必要不可欠でありまして
SOFAスコアを意識してモニタリングすることは
獣医療においても常々大事なことだなと思っております。
犬さんの敗血症の代表格の一つといえば、子宮蓄膿症になると思いますが
先日、他の動物病院さんで子宮蓄膿症と診断されながらも内科的な入院治療で粘られていたわんちゃん
その子が当院にいらした際にはすでに敗血症になっておりました。
他院さんでの入院初日の血液検査↓
Cre 1.2 T-Bil 0.6 血小板数 14.7万 白血球数 23200 といった感じ。
4日後の当院での手術直前の血液検査
Cre 2.71 T-Bil 2.1 血小板数 14.6万 白血球数 22800 という具合。
腎臓と肝臓における臓器障害が進んでいることがわかります。
ちなみに、この子は体重が2kgを切る子だったので
クレアチニン 2.1はそれなりに高い数値だと思います。
この時点でSOFAスコアが5点以上はあるので、子宮蓄膿症が原因であるとすれば
完全な敗血症と診断ができます。
正直、術前の状態はあまり良くなかったことと
15歳という年齢でもあったことから
リスクは少しあるかな、というお話もさせていただきましたが
手術をしないとほぼ100%失われる命ではあったので
手術をしてください、という話で手術することになりました。
結果をすごく省略して申し訳ないですが
途中、低血糖傾向や低カルシウム傾向なども認められましたが
入院治療とその後の通院により、とても元気にごはんもしっかり食べてくれるようになりました。
手術から16日目の今日の血液検査では
Cre 1.35 T-Bil 0.6 PLT 57.4万 白血球数 13790 といった感じで
かなり改善してくれておりました。
無事に手術と術後の治療を乗り越えてくれて本当に良かったなと思います。
昔は、白血球数の減少とか血糖値の低下とかがあったら
敗血症かな?とか考えていた時代もありましたが
そんなことをしていたら、きっと間に合わない命もたくさんあるんだろうなと予想されます。
SOFAスコアのような
誰もが客観的に評価でき
病態をある程度リアルタイムっぽく評価できるようなツールがあるというのは素晴らしいですよね。
しかも、このSOFAスコア
2ヶ月前にSOFA-2として改訂されたそうです。
医療分野は情報がどんどん新しく更新されていきますね。
自分たちも時代遅れな治療にならないように心がけないといけません。
それでは、今日はこのへんで。
明日は、腎臓病のセミナーです。
参加申し込みが80名を超えそうで、少し気が重くなってきましたが、頑張りたいと思います。
あんまり期待しないでいてくださるとありがたく思います。
参加される方はよろしくお願いいたします。