犬さんの僧帽弁閉鎖不全症のセカンドオピニオン case1
症例情報
10歳 去勢オス キャバリア・キングチ・ャールズ・スパニエル
当院受診前の経過
一年前から疲れやすさが出てきており、三ヶ月前に他院にて心臓肥大と腹水貯留と診断。
ベナゼプリル(フォルテコール錠 ACE阻害薬)および フロセミド(ラシックス錠 ループ利尿薬)を処方された。
内服を飲んでも全く改善がないどころか、お腹の張りが酷くなってきたため
心臓病のセカンドオピニオンとして、みなとまちアニマルクリニックを受診。
当院における診断
身体検査、心臓超音波検査より
僧帽弁閉鎖不全症および三尖弁閉鎖不全症による両心不全と診断。
右心不全症状としての腹水貯留が重度であり、活動性の低下および呼吸困難を認めた。
↑当院初診時の心臓の超音波検査画像の一部。
左心房、左心室および右心房の拡張を認める。
↑初診時の腹部超音波検査画像。
重度の腹水貯留(画像の黒い部分)を認める。
当院での治療・処方内容
腹腔穿刺による腹水抜去は実施せず、内服の変更による治療反応を評価することとし
現在の内服を全て中止し
利尿剤をフロセミドから長時間作用型のトラセミドへ変更。
強心剤としてピモベンダンを追加処方した。
その後の経過
三日後の再診時点で腹水は大幅に減少し
呼吸状態も改善、活動性も向上した。
一ヶ月後の時点で腹水がほぼ消失するまでに改善。
↑初診時より約一ヶ月後の腹部超音波検査画像。
腹水貯留がほぼ消失したことを確認。
現在、当院初診時より約半年が経過し
食欲・活動性・呼吸状態全てにおいて良好に維持ができている。
結語
このような流れで循環器疾患の処方内容を変更することで
現在の症状が劇的に改善する症例は少なくありません。
循環器疾患は、内科的な薬の使用方法・処方の仕方によって
症状が大きく変わります。
犬さん・猫さんの循環器疾患(心臓病)でお悩みの方はご気軽にご相談ください。