獣医師としての価値基準
獣医さんの求職者情報なんかをパラパラと見ていると
臨床経験○○年
診察件数○○件/日
手術経験:去勢・避妊手術、乳腺腫瘍切除、脾臓摘出、膀胱切開術・・・
なんかの情報が並べられていることが多いです。
これは、雇用する動物病院がこういう情報に価値があると仲介会社が判断した上で
こういう記載方法になっているのだと思います。
こういった情報を見る度に
外科手術をすることのない自分自身はポンコツ獣医として評価されるんだろうなって思うんですね。
実際、臨床獣医師としての価値基準を
外科的スキルに置いている人も少なくないのかなと思います。
そんな中、望月は数少ない理解者と言いますか
『手術自体よりも周術期の方が大事だから
外科よりも内科の方が重要でしょ』って言ってくれる獣医さんです。
腎臓病とか麻酔とかを自院の強みとして表明する動物病院がかなり少ないのは
大体の獣医さんが
『いやいや、麻酔とか普通にやっていればできるし、腎臓病なんて誰が診たって同じでしょ』って
考えているからだと思います。
誰だってできる(と思っている)ようなことを
わざわざ強みとして推すことなんてないですもんね。
でも、僕としては
皆んなが誰でも同じだって考えているような診療分野においても
かなりこだわって色々と突き詰めていけば
医療の質には差が生じると考えています。
そういう差は
目の当たりにして実感しないと理解を得にくいものだと思います。
結果的に
どうしても外科系の分野にスポットライトが当たりやすい現在の動物医療において
僕はずっとポンコツ獣医としての評価のままだとは思うのですが
それでも患者様からの一定の評価はいただいているように感じていますので
まあ、それはそれで良いかなと。
診療科目における知識や経験とかだけでなく
患者様との話し方、話の聞き取り方、動物に対する接し方、動物とご家族の負担を如何に減らすか、などなど
内科医がこだわるべき点ってたくさんあると思います。
そういうありとあらゆる点を向上していくことは
患者様の満足度アップには繋がるのだとは思うのですが
獣医師としての価値向上には繋がらないんですよね。きっと。
『前の先生の時は全然話を聞いてもらえなくて・・・』
と言われて来院される患者様は、毎週のようにいらっしゃいます。
獣医師として評価されるポイントが変わっていけば
話を聞いてもらえない患者さんの数も減るんじゃないかなあ、とか思うのですが。
やっぱり外科ができる=売り上げが上がる、みたいなイメージが価値を決めるんでしょうかね。
動物病院の顧客である患者様の需要と
雇用する動物病院が評価する獣医師の基準の間に、乖離があるんだろうなあ、とか考えてみたり。
でも、その乖離があるから当院のようなやり方が評価されたりするのかなとも思ったり。
とりあえず、ポンコツはポンコツなりに頑張ろうと思います。
それでは、今日はこの辺で失礼いたします。