みなとまちアニマルクリニック(清水区動物医療センター)は、心臓病・腎臓病・麻酔に力を入れている動物病院です。

  1. ホーム
  2. 犬さん情報
  3. クッシング症候群について〜続き〜

クッシング症候群について〜続き〜

昨日の続きの前に連絡です。

10月1日の日曜日は休診となります。

その日、愛玩動物看護師国家試験の予備試験がありまして

今年は当院の鈴木看護師の受験年なんですね。

鈴木看護師がいない状況で診療をやって皆様にご迷惑をおかけするぐらいなら

やらない方が良いだろうという判断で休診とさせていただくこととなりました。

ご迷惑をおかけし申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

そんなわけで、昨日の続きにまいります。

クッシング症候群を診断し、いざ治療を開始しました、その後のお話ですね。

トリロスタンという薬剤を使用するのが一般的にはなりますが

そのトリロスタンの最適な用量はその症例によって大きな個体差があるとされています。

せっかく使用するんだから

きちんと副腎のホルモンを抑制してあげたいわけですが

抑制し過ぎてしまうと副腎皮質機能低下症(アジソン病)のような症状が出てしまい

結構危ない状況になることもあり得る薬なので

使用には慎重なモニタリングが必要です。

一昔前は、ACTH刺激試験というクッシング症候群の診断時にも使用される検査を

治療のモニタリングの検査としても使用されていました。

ACTHとは副腎皮質刺激ホルモンのことで

副腎にホルモンを出してくださいね、という刺激をする役割を担っている

名前がそのままのホルモンです。

それを注射する前と後で、コルチゾール(これがいわゆるステロイドと考えてください)を測定し

クッシング症候群だと注射後の数値がすごく高くなるんですが

治療が上手くいっていると、このコルチゾールの数値が下がっていて

きちんと副腎を抑制できているね、って感じいnなるわけです。

ただ、ラットのデータではあるものの

このACTH刺激試験を繰り返すことは副腎自体を壊死させちゃうんじゃないかという

報告がありまして

できれば他の方法でトリロスタンの治療判定を行うことができないか?と

模索されておりました。

で、今どうしているかというと

トリロスタンを投与して3時間後のコルチゾールの数値が

2.3μg/dl未満なら良好な抑制ができていて

2.3μg/dl以上なら抑制が不十分と判断して良いんじゃないかという報告が出たので

これを利用しています。

実際は3.5μg/dlぐらいまではokだという意見もあるみたいですが

ここら辺は実際の臨床症状と照らし合わせながら考慮する形になると思います。

あともう一つ判断できる方法として

トリロスタン投与前にコルチゾールを測定するという方法も報告されています。

トリロスタン投与前の数値が

1.5μg/dl未満なら過剰な抑制

1.5〜5.0μg/dlなら良好

5.0μg/dl以上なら不十分(実際は7.0ぐらいまでOKらしいけど。。。)

みたいに判断する手法もあるそうなんですね。

どっちの判定方法を使用するかは

ご家族様がわんちゃんを病院に連れて来ていていただける時間帯だったり

トリロスタンを飲ませてもらうタイミングだったり

色々な要素を加味して使い分けております。

こんなことブログに書いたって誰も参考にならないじゃないかってなるかと思います。

いや、はい、確かにその通りでして

僕はこの細かな数値を覚えておくことが難しいので

パッと参照できるようにブログに書かせていただきました。

権利の濫用です。すみません。

ご家族様に知っておいて欲しい情報は

クッシング症候群の治療開始後のモニタリングの際に

何度もACTH刺激試験をすることはほとんどなくなったんだよって

ことぐらいかと思います。

あの検査は、注射をしてから1時間とか時間を置いて再度採血をしないといけないので

ご家族様的にもちょっと面倒な検査なんです。

今まで1時間の間隔を空けて採血を2回していたところを

1回で済むようになったのは

わんちゃんもわんちゃんの副腎もご家族様も病院も

皆んなにとって嬉しいことなんじゃないかって思っています。

あと知っておいて欲しいこととしては

トリロスタン投与中に体調不良になったら直ちに投薬を中止してほしいってことでしょうか。

お家でクッシング症候群のわんちゃんの看病をしていただく上で

結構一番大事なポイントだったりするかもしれません。

トリロスタンを何度か飲み忘れたり急に休薬したところで、リスクなどほとんどありませんが

トリロスタンの過量によって体調を崩している時に飲み続けてしまうと

最悪命を落とす可能性もあります。

なので、体調を崩した時は迷わず休薬するようにするか

一度処方している動物病院さんに相談していただく方が良いと思います。

クッシング症候群のセミナーについての話はこれくらいにしておきます。

少しでも誰かの参考になればと思います。

明日からはまた通常のブログになりますので

また明日思いついたことを書こうと思います。

それでは、今日はこの辺で失礼いたします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

当院へのお問い合わせはこちらのメールアドレス(minatomati9162@outlook.jp)もしくは、当院インスタグラムよりお願いいたします。

当院でのご経験や当院へのご感想などをこちらの→googleの口コミに書いていただけると、初めて来てくださる方への参考になります。

静岡市で動物病院をお探しの方は清水区のみなとまちアニマルクリニックへどうぞ!!