みなとまちアニマルクリニック(清水区動物医療センター)は、心臓病・腎臓病・麻酔に力を入れている動物病院です。

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熱中症

先月の末に来院されたわんちゃんのお話しです。

前日から嘔吐と食欲不振・元気消失の症状があったため

朝イチで別の動物病院さんを受診されました。

その病院さんで体温が40度を越していたため

その先生は『熱中症だ』と診断され

熱を下げる注射だけしておくね、ということで注射をされたそうです。

クーラーの効いているずっと涼しい家の中に居たのに

熱中症になるか?と疑問に感じたご家族様は

その病院からそのまま当院に来院されました。

結論、その子は胆嚢破裂による腹膜炎症状を呈していたわけで

かなり危険な状態でありました。

日本救急医学会による熱中症ガイドラインによれば

熱中症とは「暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称」である。

すなわち「暑熱による諸症状を呈するもの」のうちで

他の原因疾患を除外したものを熱中症と診断する。』

となっています。

熱中症という病態は

あくまで暑い環境に身を置いていた状況で

その暑さに身体が耐えられなくなって神経症状を始めとする様々な症状を引き起こす状態

なわけです。

よっぽど特別な理由がない限りは

涼しい家の中に居る状況で熱中症なんてなるはずがないんですね。

この『発熱=熱中症だ』みたいな変な図式が

なぜか色々な動物病院で横行しているような気がしております。

確かに熱中症の時の体温には注意をしないといけないですし

体温が高過ぎるのであれば下げる処置は必要にはなります。

が、感染性疾患や免疫介在性疾患、腫瘍性疾患などが原因で発熱がある時に

その熱を果たして下げていいのか?という点については、冷静に考えねばなりません。

基礎疾患の治療が奏功した結果、熱が下がるのであれば治療成功ですが

ただ単に熱を下げにかかる、というのは病態を悪化させてしまうかもしれません。

高体温の犬さん・猫さんに遭遇したら

何で体温が高いのかをきちんと考えないといけないということです。

僕の記憶が間違っていなければ

実際当院で熱中症だと診断した症例は2年前を最後にありません。

その子も外飼いのわんちゃんで真夏の暑い日に

外に5時間以上いた後にぐったりという感じの主訴でした。

今のご時世、犬さん・猫さんと一緒に暮らしていて

真夏にクーラーをつけないというご家庭の方が珍しいかと思います。

人間だとニュースでも話題になっておりますし

動物の熱中症にはご家族の方は充分注意されているんではないかと思っています。

もちろん、突然クーラーが故障したり

家の中で大興奮してしまったり

短頭種気道症候群を元々持っていたり

そういう理由で熱中症みたいな症状になってしまうこともあるかもしれませんが

昔と比べるとずいぶん減ったんじゃないかなと個人的には思っています。

中高齢以上のわんちゃんでの発熱は

今回のお話の例のような緊急症例であることも少なくありません。

人間みたいに風邪を引いたらすぐに熱を出す、って感じではあまりないということと

熱中症というのは、そういう環境がないとならない病態なんだよってことを

知っておいて頂けると

実際にお家の子が熱い気がするってなった時の初動が変わるかもしれません。

ご参考までに。

それでは今日はこの辺で失礼いたします。

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